障害福祉関係ニュース(障害福祉制度・施策関連情報) 平成26年度2号 通算306号 (平成26年7月8日発行) 本ニュースは、全社協 高年・障害福祉部に事務局をおく、 セルプ協・身障協・厚生協・全救協・障連協の協議員・役員・構成団体、 ならびに都道府県・指定都市社協に電子メールにてお送りしています。 [発行]全国社会福祉協議会 高年・障害福祉部 〒100-8980東京都千代田区霞が関3-3-2 新霞が関ビル内 TEL:03-3581-6502 FAX:03-3581-2428 E-MAIL:z-shogai@shakyo.or.jp ◇◆◇ 今号の掲載内容 ◇◆◇ T.障害福祉制度・施策関連情報 1.「経済財政運営と改革の基本方針2014」(骨太の方針)が示される …P.1 2.厚生労働省 社会福祉法人の在り方等に関する検討会報告書「社会福祉法人制度の在り 方について」が示される …P.3 3.厚生労働省「障害福祉サービス等報酬改定検討チーム」(第1回)が開催される …P.17 4.厚生労働省通知「社会福祉法人の認可について」の一部改正 …P.18 5.「難病の患者に対する医療等に関する法律」(難病法)が成立 …P.19 T.障害福祉制度・施策関連情報 1.「経済財政運営と改革の基本方針2014」(骨太の方針)が示される  政府は平成26年6月24日(火)、成長戦略である「経済財政運営と改革の基本方針」(骨 太の方針)を閣議決定しました。骨太の方針は、来年度の予算編成や税制改革の指針にな るものです。  その中で、今年度については2020年を目途に、「人口急減・超高齢化」への流れを変え、 50年後に1億人程度の安定した人口構造の保持を目指すことを政府の目標として掲げ、中 長期的な視点に立った政策を打ち出しています。  また、国と地方を合わせた20%台への法人実効税率引き下げを来年度から開始する旨が 明記されました。一方で、厳しい財政状況を踏まえ、歳出改革を行うにあたって特に、今 後も増大が見込まれる社会保障給付の重点化・効率化を図り、経済再生、財政健全化と持 続可能な社会保障の達成を目指すとしています。  以下に、障害福祉分野の関連部分を掲載(※一部抜粋)しています。          「経済財政運営と改革の基本方針2014」(骨太の方針)         ※一部抜粋。下線部は、全国社会福祉協議会 高年・障害福祉部にて加筆。    第3章 経済再生と財政健全化の好循環    1. 経済再生と財政健全化の両立に向けた基本的考え方  (法人税改革)  日本の立地競争力を強化するとともに、我が国企業の競争力を高めることとし、その一 環として、法人実効税率を国際的に遜色ない水準に引き下げることを目指し、成長志向に 重点を置いた法人税改革に着手する。  そのため、数年で法人実効税率を20%台まで引き下げることを目指す。この引下げは、 来年度から開始する。  財源については、アベノミクスの効果により日本経済がデフレを脱却し構造的に改善し つつあることを含めて、2020 年度の基礎的財政収支黒字化目標との整合性を確保するよう、 課税ベースの拡大等による恒久財源の確保をすることとし、年末に向けて議論を進め、具 体案を得る。  実施に当たっては、2020 年度の国・地方を通じた基礎的財政収支の黒字化目標達成の必 要性に鑑み、目標達成に向けた進捗状況を確認しつつ行う。    2. 主な歳出分野における重点化・効率化の考え方  (1)社会保障改革  (基本的な考え方)  我が国の社会保障給付は、少子高齢化の更なる進行の中で、継続的に経済成長を上回る ペースで増大しており、国民の負担の増大を抑制していくことが重要である。このため、 国民のニーズに対応するための社会保障の機能強化を図りつつ、自助・自立のための環境 整備を進める。国、地方公共団体、保険者等がそれぞれの役割を的確に果たすこと等によ り、医療・介護を中心に社会保障給付について、いわゆる「自然増」も含め聖域なく見直 し、徹底的に効率化・適正化していく必要がある。その際、「自然増」について、高齢化 による増加とそれ以外の要因による増加などその内容を厳しく精査していく。    その際、先進的に取り組んでいる地域の事例の横展開や各制度の横断的見直しの視点が 重要である。特に、地域横断的な医療介護情報のICT化により「見える化」を進め、各 地域の状況を比較した結果を踏まえて医療介護支出の効率化・適正化を図る。世代間・世 代内での負担の公平を図るため、負担能力に応じた負担を重視する制度への転換を進める。    (介護報酬・診療報酬等)  平成27 年度介護報酬改定においては、社会福祉法人の内部留保の状況を踏まえた適正化 を行いつつ、介護保険サービス事業者の経営状況等を勘案して見直すとともに、安定財源 を確保しつつ、介護職員の処遇改善、地域包括ケアシステムの構築の推進等に取り組む。 障害福祉サービス等報酬改定についても同様に取り組む。  また、今後の診療報酬改定に向けて、医薬品や医療機器等の保険適用の評価に際して費 用対効果の観点を導入することや、医療提供者に対して良質かつ効率的な事業運営を促す 報酬の在り方について検討する。 詳細は以下のURLよりご参照ください。 [内閣府]ホーム>内閣府の政策>経済財政政策>経済財政諮問会議>経済財政諮問会議取りまとめ>資料等>経済財政運営と改革の基本方針 http://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/cabinet/2014/decision0624.html 2.厚生労働省 社会福祉法人の在り方等に関する検討会報告書「社会福祉法人制度の在り 方について」が示される  厚生労働省は、第12回社会福祉法人の在り方等に関する検討会(座長田中滋慶應義塾大 学名誉教授)を6月16日(月)に開催しました。これまでの検討会の報告書となる「社会福 祉法人制度の見直しについて(案)」が示され、とりまとめに向けた議論が行われました。 報告書(案)は、以下の5部構成として示されました。 第1部:社会福祉法人制度の概要 第2部:社会福祉法人制度を取り巻く状況の変化 第3部:社会福祉法人の課題 第4部:社会福祉法人の今日的な役割 第5部:社会福祉法人制度見直しにおける論点  ※以下に7月4日公表分の全文を掲載  事務局からの資料説明後に、協議に入りました。とくに第5部「社会福祉法人制度見直し における論点」に関してはとりわけ多く意見が出されました。  <第5部における委員からの意見(一部)> ・ 「1.地域における公益的な活動の推進について」は、「実施義務を明記することを検討 するべきである」という表記と、「義務付ける内容について慎重に検討するべきである」 という表記があり、義務づけるという結論で良いのかという意見に対し、古都審議官よ り「地域における公益的な活動は、法律上明記して、義務付けることを考えている。慎 重に検討するとしたのは、公益的な活動は、柔軟な対応で行っていただきたいという意 図からである」という趣旨の発言がありました。 ・ 地域住民が公益的な活動について評価する仕組みは良いが、その際、住民が公益的な 活動について考えるときのヒントになるような公益的な活動の事例集が作成されるべき ではないか。  会議の中、古都厚生労働省大臣官房審議官より、「社会福祉法人制度の見直しについて は、@この論点整理で行うもの、A運用の段階での議論で行うものがある。この報告書で は本日の意見は、骨太の方針として明示するものと検討を深めるものとに整理して、修正 したい。報告書ができてから、社会福祉法人制度の見直しがスタートしていくと考える」 という趣旨の発言がありました。  なお、今回で検討会は終了し、今回の意見を踏まえた報告書の最終修正は座長に一任さ れ、その後の7月4日に報告書として公表されました。 ※以下に、第5部の全文を掲載いたします(7月4日公表の内容)。 第5部 社会福祉法人制度の見直しにおける論点 1.地域における公益的な活動の推進 (1)当検討会の現状認識 (地域における公益的な活動の推進) ○社会福祉法人は、社会福祉事業を主たる事業とする非営利法人であり、制度や市場原理 では満たされないニーズについても率先して対応していく取組(以下「地域における公益 的な活動」という。)が求められている。 ○本来、社会福祉法人は、こうした取組を実施することを前提として、補助金や税制優遇 を受けているものであり、経営努力や様々な優遇措置によって得た原資については、主た る事業である社会福祉事業はもとより、社会や地域での福祉サービスとして還元すること が求められることを改めて認識する必要がある。 ○地域における公益的な活動については、地域の実情に応じて、様々な取組が考えられる が、現在実施されている例としては、以下のようなものが挙げられる。 ・地域住民のサロンや生涯学習会の実施など、地域交流促進のための場の提供 ・生計困難者等に対する利用者負担軽減 ・特別養護老人ホーム等の入所施設による在宅の中重度の要介護者等の生活支援 ・地域内の連携による福祉人材の育成 ・複数法人の連携による災害時要援護者への支援 ・地域における成年後見人等の受託 ・生活困窮者に対する相談支援、一時的な居住等の支援の実施、就労訓練事業 (いわゆる中間的就労)や社会参加活動の実施 ・低所得高齢者等の居住の確保に関する支援 ・貧困の連鎖を防止するための生活保護世帯等の子どもへの教育支援 ・ひきこもりの者、孤立した高齢者、虐待を受けている者等の居場所づくりや見守りの実 施 ・刑務所出所者への福祉的支援 (地域における公益的な活動のための環境整備) ○他方で、社会福祉法人が、こうしたニーズに積極的に取り組んでいけるようにするため には、指導監督側である行政庁においても、@活動内容や実施の在り方について明確に示 していくこと、A職員の専任要件、施設・物品の専用要件、資金使途の規制等を弾力化す ること、B所轄庁の指導監督の在り方を見直すことなど、法人が活動を行いやすい環境を 作っていく必要がある。 (独自財源の確保の取組) ○また、活動資金については、事業の報酬・運営費等の剰余金の活用のほか、寄附等の独 自財源の活用が考えられる。寄附について、これまでの社会福祉法人の取組は弱いという 意見があった。住民から寄附を受けるに足る信頼性の確保や住民にとって寄附の効果が見 える対応を行うことで、寄附等の独自財源の獲得も推進していくことが重要である。 (2)当検討会の意見 ア 地域における公益的な活動の枠組み (地域における公益的な活動の実施義務) ○社会福祉事業を主たる事業とする非営利法人の役割として、地域における公益的な活動 は全ての社会福祉法人において実施される必要がある。全ての社会福祉法人に実施を求め るためには、法律上、実施義務を明記することを検討すべきである。 (地域における公益的な活動の定義) ○地域における公益的な活動について、どのようなものがその活動に当たるのかというこ とについては、地域性を考慮することや、多様な支援が可能となるよう、規定の在り方に ついて更に検討を深めるべきである。 ○また、地域における公益的な活動は、地域の多様なニーズに柔軟に対応するために、社 会福祉法人の自主性が尊重される仕組みとすべきである。特に、現行の社会福祉法人の公 益事業のように国が事業を例示すると、所轄庁の画一的な指導を招き、活動内容が例示事 例中心になってしまうなど、かえって真に地域ニーズに沿った事業展開ができなくなるお それがあることに留意する必要がある。 ○このため、地域における公益的な活動の内容については、@地域住民の代表、福祉・医 療等の専門職、地方公共団体の職員などから成る協議会による評価を活用する仕組みや、 A市町村の策定する「地域福祉計画」等地域で必要とする支援や福祉サービスの基盤整備 の方針等の活用など、具体的に各地域で定められる仕組みとすることが考えられる。 また、各地で行われている地域における公益的な活動について、十分な情報提供を行うこ とも有効な方策である。 (社会福祉法における活動の位置づけ) ○地域における公益的な活動については、社会福祉事業、社会福祉を目的とする事業、公 益事業等の既存の事業との関係について、社会福祉法における整理が必要である。 (地域における公益的な活動の実施に当たっての留意点) ○社会福祉法人にとっては、主たる事業である社会福祉事業を効果的に実施することが、 公益性を維持する上で必要不可欠であり、まずは既に実施している社会福祉事業について、 十分な取組を行うことが評価されるべきである。 ○社会福祉法人が、社会福祉事業を実施する中で、積極的に障害者の雇用をしたり、新た な取組を開発したりという形で地域のニーズに応えていけば、社会福祉 事業から地域における公益的な活動へと自然に展開していくことが可能と考えられる。 ○地域における公益的な活動については、既に実施している社会福祉事業を疎かにして実 施されることがないよう、義務付ける内容を慎重に検討した上で、積極的な実施ができる よう環境を整えるべきである。 イ 地域における公益的な活動の実施方法 (複数法人による活動の協働化等) ○地域における公益的な活動は、制度に則った事業とは異なり、財源問題を含め、様々な リスクや困難を伴うことも想定される。このため、 @法人単独で行う方法だけでなく、複数の法人が活動資金を出し合ったり、一体的な組織 を構成したりすること等により事業を展開すること A社会福祉法人だけでなく、地域住民を対象にして活動するボランティア、NPO等の公 益法人を支援しながら、連携して地域における公益的な活動に取り組んでいくこと を積極的に推進するべきである。 (「3.法人の規模拡大・協働化」を参照) (複数法人による活動の協働化等) ○地域における公益的な活動は、制度に則った事業とは異なり、財源問題を含め、様々な リスクや困難を伴うことも想定される。このため、 @法人単独で行う方法だけでなく、複数の法人が活動資金を出し合ったり、一体的な組織 を構成したりすること等により事業を展開すること A社会福祉法人だけでなく、地域住民を対象にして活動するボランティア、NPO等の公 益法人を支援しながら、連携して地域における公益的な活動に取り組んでいくこと を積極的に推進するべきである。 (「3.法人の規模拡大・協働化」を参照) ウ 地域における公益的な活動の実施促進 (資金使途の弾力化) ○社会福祉法人の資金としては、事業の運営費として、「介護報酬」、「自立支援給付費」、 「保育所運営費」、「措置費」等があるが、「保育所運営費」、「措置費」については、 行政から支弁される委託費という性格上、法人本部への支出に上限があるなどの使途の制 限があるため、これらの使途の弾力化については、その性格を踏まえ検討するべきである。 (独自財源の確保の推進) ○社会福祉法人が、住民から寄附を受けるに足る信頼性の確保と、住民にとって寄附の効 果が見える取組を実施することを前提に、積極的に寄附を募っていくことを推奨するべき である。 (事業ごとの法令上の制約の見直し) ○地域における公益的な活動の実施に当たっては、各事業における職員や設備に関する規 制が支障となることがあるので、既に実施している社会福祉事業に支障のない範囲で、か つ、さらに地域における公益的な活動を積極的に実施できるよう、これらの規制の柔軟化 について検討するべきである。 (地域における公益的な活動をしない法人への対応) ○特別の事情なく、一定期間地域における公益的な活動を実施しない法人については行政 指導の対象とするなど、実施する法人との区別を検討するべきであり、そのための指導手 順を明確化する必要がある。 エ 地域住民の理解促進 (地域における公益的な活動の実施状況の公表・評価方法) ○地域における公益的な活動については、地域住民の理解が不可欠であるため、法人が活 動状況を公表し、活動に対する住民の評価を求め、取組の改善や向上を図る仕組みを検討 するべきである。 (会計区分の策定) ○地域における公益的な活動やそれに要した金額が明らかになるように、会計基準の見直 しを行い、活動内容やそれに要した費用の公表を検討するべきである。 (「4.法人運営の透明性の確保」を参照) 2.法人組織の体制強化 (1)当検討会の現状認識 (法人単位での経営への対応) ○介護保険制度の施行を契機として、複数施設・事業所を経営する社会福祉法人が増えて いる。社会福祉基礎構造改革では、こうした展開を先取りして、措置制度の下での基本で あった施設・事業所を単位とした施設管理(典型的には、いわゆる「一法人一施設」)か ら、法人単位での経営が可能となる見直しを行っているが、現在でも多くの社会福祉法人 の経営が、施設・事業所単位のままとなっており、社会福祉法人側での経営に関する意識 改革が十分とはいえない。 (法人のガバナンスの見直しの必要性) ○社会福祉法人の組織は、理事会、評議員会、理事長、理事及び監事から成り立っている が、それぞれの役割が十分機能する仕組みとはなっていない。特に評議員会については、 介護保険事業、保育所、措置事業のいずれかのみを経営する社会福祉法人には設置しなく ても良いこととされるなど、法人としてのガバナンスが十分に確保される体制とはなって いない。 (理事長の業務と責任) ○社会福祉法人の理事長は、公益性の高い社会福祉事業の経営に携わる理事の中から任命 された者として、国民の福祉の増進に寄与するという信念を持ち、利用者のニーズや地域 のニーズに耳を傾け、職員の意見を真摯に聴き、サービスの質の改善を絶えず図っていく など、法人の使命を正しく履行する義務と責任がある。 ○社会福祉法人の理事長に、結果として世襲の者がいることについては、一律に是非が問 われるものではなく、理事長の職を担う人物の資質の適性の問題である。理事長の職は福 祉への信念や実践力、法人の使命を踏まえた経営能力のある人物が就任することが適当で あり、理事長の選任に当たって世襲が実質的な理由とされることのないよう、評議員会に おいて適切に理事が選任され、そこから理事長が選出される仕組みが必要である。 (理事等の責任の明確化) ○ 社会福祉法人の理事長、理事、監事(以下「理事等」という。)は、常勤役員としての 報酬を得て執行責任を負うべき者と、出席謝金のみでガバナンスの第三者的なチェックを 行う者が存在しているが、個々の理事等の役割と責任が明確とは言い難い。 (公益法人制度改革との関係) ○2006(平成18)年の公益法人制度改革の結果、一般社団法人・一般財団法人、公益社団 法人・公益財団法人について、社会福祉法人よりも厳しい組織体制や透明性の確保の規定 が設けられている。 ○社会福祉法人が旧民法第34条の公益法人の特別法人として創設されていることに鑑みれ ば、より公益性の高い法人として、公益社団法人・公益財団法人と同等以上の組織体制や 透明性の確保が必要である。 (2)当検討会の意見 ア 法人組織の機能強化 (法人組織の権限と責任の明確化) ○社会福祉法人の理事会と評議員会、理事長、理事、監事等の牽制関係について再度整理 を行い、それぞれの役割について、公益法人制度改革の内容を十分勘案した上で、明確化 を図るべきである。 ○検討に当たっては、次の観点が同時に果たされるよう留意すべきである。 @社会福祉法人が積極的に新規事業に投資し、地域における公益的な活動を柔軟に行うた めに、理事等の執行権限とこれに応じた責任を明確にすること A理事会、評議員会や監事、行政による指導監督といった重層的なチェック機能の役割分 担と具体的な連携を図った上で、理事等の執行機関の活動を適切にチェックすること B非営利法人としての法人の活動を外部・地域に対して「見える化」し、第三者の目によ る点検や評価をいつでも可能とするなど、法人活動の透明性と信頼を高めること (評議員会の設置) ○ 社会福祉法人の公的性格を担保し、地域の福祉ニーズに応えるため、評議員会について は、公益社団法人・公益財団法人と同様、理事会に対する牽制機能として、法人運営の重 要事項に関する議決機関としての役割を明確にした上で、全ての社会福祉法人に設置する よう見直すことを検討するべきである。 ○ ただし、小規模な法人や地域の事情がある法人は、評議員の人選面において負担が大き いと考えられるので、経過措置も検討するべきである。 ○ また、複数の社会福祉法人が共同で評議員会を設置する仕組みについても、検討するべ きである。 ○ なお、評議員の選任については、公益社団法人・公益財団法人における取扱いを踏まえ、 理事又は理事会による選任の見直しを検討するなど、現行制度よりも地域住民の意向が反 映されるよう仕組みを検討するべきである。 イ 法人本部機能の強化方策 (法人本部機能の強化) ○社会福祉法人が法人単位での経営を推進するためには、法人単位で経営戦略、人事、財 務を管理する部門が必要である。このため、一定規模以上の法人には、理事会の下に法人 本部事務局を設置するなど、組織の見直しを検討するべきである。 (法人単位の資金管理) ○法人本部がその機能を発揮するためには、法人本部が各事業の剰余金やその他の独自財 源等をもとに、新規事業の立ち上げや不採算部門への充当を企画・立案できる仕組みが必 要である。このため、資金管理を施設単位から法人単位とすることを検討するべきである。 ウ 理事等の権限と責任の明確化、要件の見直し (理事等の損害賠償責任等) ○ 理事等が法人に対して責任ある経営判断やガバナンスのチェックを果たしていく仕組み とするため、公益法人制度改革の内容を勘案し、法人運営に関する理事の損害賠償責任、 特別背任罪の適用等を検討するべきである。なお、併せて、法人運営に関する説明責任を 外部に対して果たすことを要件に、職務内容や勤務実態に応じた適切な報酬の支払いを認 めることを検討するなど、賠償責任補填の考え方の適用を検討すべきである。 (職員出身の理事の登用) ○現在も施設経営を行う法人は1名以上の施設長を理事とすることとされているが、法人 経営が現場の声を反映したものとなるよう、理事等に、法人の実施する社会福祉事業の内 容を熟知する職員からの登用を一定割合義務付けることを検討するべきである。その際、 いわゆる世襲との関係に留意し、職員の定義等について検討する必要がある。 (監事要件の見直し) ○監事については、財務監査と事業監査の観点から、「1名は財務諸表を監査し得る者、 1名は学識経験者又は地域福祉関係者」とされているが、財務諸表については法人運営の 状況を把握するための基礎的資料であるため、両名とも財務諸表を確認できる者とするこ とを検討するべきである。その場合、単に会計を理解できるのみならず、社会福祉法人制 度等を理解した者であることが大切であることに留意が必要である。 ○また、監事は法人の財務関係の適正さを担保する要であり、親族等の利害関係者の就任 を引き続き制限するべきである。なお、法人運営に関する説明責任を外部に対して果たす ことを要件に、職務内容や勤務実態に応じた適切な報酬は、支払いを認めることを検討す るべきである。 エ 理事長の権限を補佐する仕組み (経営委員会、執行役員会等の活用) ○社会福祉法人は、理事長の専決事項が多いことを踏まえ、理事長の権限を補佐する仕組 みとして、法人の規模に応じて、経営委員会、執行役員会等の活用の推進を検討するべき である。 3.法人の規模拡大・協働化 (1)当検討会の現状認識 (地域を観る経営者の視点) ○社会福祉法人が、利用者や地域のニーズに対応していくためには、既に実施している事 業だけでなく、「地域を観る経営者の視点」が必要である。また、利用者や地域のニーズ に対応していくためには、法人の規模拡大や複数法人による事業の協働化が一つの方策で あり、それが可能となる仕組みや環境整備を検討していくことが重要である。 (法人規模についての考え方) ○現在の社会福祉法人の規模についての正確な調査はないが、事業の範囲が市の区域を越 えない法人として、所轄庁が一般市である法人が9,131法人(社会福祉法人全体の46.1%) となっている(2013(平成25)年4月1日時点)。また、全国社会福祉法人経営者協議会 の調査によれば、会員法人6,873法人のうち、約半数(3,469法人)が単独施設法人となっ ている(2010(平成22)年3月)。 ○単独施設法人であるなど、法人が小規模であることが社会福祉事業の実施に当たって支 障になるというものではない。しかしながら、利用者や地域のニーズに対応し、複数の事 業を展開することは、法人の規模拡大につながり、資金の効果的な活用や職員の適切な異 動を可能とし、さらには新たな福祉ニーズへの柔軟で機動的な対応にも途を拓くものであ る。 ○また、社会福祉法人は、社会福祉事業を実施する事業者の模範的存在として、率先して、 職員の処遇改善に取り組んでいくことも重要である。一般的に法人の規模拡大は、職員の 広範な人事異動を可能とし、個々の職員のモチベーションやスキルの向上、幹部への登用 といったキャリアパスの構築など、職員の処遇改善や人材確保にも資する。 ○このため、社会福祉法人の経営者の視点として、既に実施している事業の経営のみにと どまらず、長期・短期のニーズ、既に実施している事業への影響等を見越した上で、事業 展開や規模拡大を志向する戦略的経営が重要である。 (合併・事業譲渡の現状) ○社会福祉法人の合併・事業譲渡については、既に手続が設けられているものの、2012 (平成24)年度における合併件数は、全国で17件にとどまっている。また、合併・事業譲 渡等に際して、関係者間で多額の現金をやりとりするといった不適切な事例も発覚してい る。こうした事例については、行政の責任として再発防止策を講ずることはもちろんであ る。合併・事業譲渡については、手続上支障となっている点を整理し、また、不適切な事 例を未然に防げるよう、改善を図っていくことが必要である。 (複数法人による事業の協働化) ○それぞれ歴史のある法人が特段の事情もなく、合併や事業譲渡を行うことは現実には難 しい。このため、合併・事業譲渡の手前の取組として、複数法人による事業の協働化を進 めることも事業規模の拡大等としては有効である。  複数法人による事業の協働化については、財源の確保や法人間の信頼関係の構築が重要 であり、法人外への資金拠出の規制緩和、法人間の役職員の相互兼務、社団的な連携など、 複数の法人が協働して事業に取り組むことが可能となるよう環境整備をしていくことが必 要である。 ○なお、社会福祉施設職員等退職手当共済制度は、法人間をまたがって異動しても通算で きる仕組みであり、複数法人の協働化等を職員の処遇面から支援できる仕組みである。 (2)当検討会の意見 ア 規模拡大のための組織体制の整備 (合併・事業譲渡手続の透明化) ○社会福祉法人の合併・事業譲渡が公正に行われるよう、合併・事業譲渡を行う場合の要 件や手続の見直しを検討するべきである。その際、所轄庁が異なる法人同士でもスムーズ に合併・事業譲渡が行えるよう、所轄庁に対する手続の周知を十分行うべきである。 ○また、合併・事業譲渡等に際して、関係者間で多額の現金をやりとりすることや、地位 を利用して利益を得ることは、社会福祉法人の非営利性に反し、地域住民等からの信頼を も失墜させるものであって、決して許されるものではない。  このようなケースについては、厳正に対処するものとし、役員解職勧告や贈収賄罪の対 象となることに加え、解職後も他の社会福祉法人の役員となることができないようにする など、制度や運用の見直しを検討するべきである。 ○なお、このような不適切な事業運営への対応については、単なる規制にとどまらず、そ の原因を追求して、制度の必要な見直しを検討するべきである。 (分割の手続の検討) ○組織再編の手段として、事業の安定性・効率性に十分配慮した上で、分割の手続を検討 するべきである。なお、分割については、理事長の職の世襲や理事等の役職の安易な増加 につながることのないよう、要件や手続を慎重に検討するべきである。 (理事会等の開催方法の柔軟化) ○法人の規模拡大により、事業の実施地域が複数県にまたがる場合が想定される。その場 合の理事会等の開催方法については、柔軟な運用が可能となるよう検討すべきである。 (経営者の資質と能力の向上) ○社会福祉法人の理事長など経営者は、利用者や地域のニーズに耳を傾け、サービスの質 の改善を図っていくなど、法人の使命を正しく履行する義務と責任があり、継続して能力 向上に努める必要があることから、関係団体等において経営能力の向上のための研修等の 拡充を検討するべきである。 イ 複数法人による事業の協働化 (法人間の役職員の相互兼務) ○法人の理念等を共有する観点から、各法人の役職員の人事交流を図ることが有効である。 経営者については、それぞれの法人の理事を兼務できるよう、必要な規制緩和を検討する べきである。その際、いわゆる「乗っ取り」などの不適切な事例を誘発する結果にならな いよう、先に述べた評議員会等による点検の仕組みの導入と併せて検討するべきである。 (法人外への資金拠出の規制緩和) ○社会福祉法人は、事業から生じた剰余金を法人外へ拠出することができないものとされ ているが、社会福祉事業や地方公共団体が認定した事業については拠出できるよう、非営 利性を失わない範囲で、規制緩和を検討するべきである。 (社団的な連携) ○社会福祉法人やそれ以外の非営利法人が協働して地域で多様な福祉活動を積極的にする ために、複数の非営利法人が社団型の社会福祉法人を設立できる仕組みを検討するべきで ある。 ○社団型の社会福祉法人に評議員会を設置することにより、より客観的な地域のニーズを 反映する仕組みを検討するべきである。 (社会福祉施設職員等退職手当共済制度の活用)  ○複数法人の連携・協働を進めるためにも、職員の処遇改善や法人間の人事交流に資す る社会福祉施設職員等退職手当共済制度を、必要な見直しを行った上で、安定かつ継続的 な制度として維持するべきである。   4.法人運営の透明性の確保 (1)当検討会の現状認識 (社会福祉基礎構造改革) ○2000(平成12)年の社会福祉基礎構造改革によって、社会福祉法人には、福祉サービス の利用を希望する者その他の利害関係者に対し、事業報告書、財産目録、貸借対照表及び 収支計算書を閲覧に供するよう義務付けられている。 (公益法人制度改革) ○その後、2006(平成18)年の公益法人制度改革によって、公益社団法人・公益財団法人 は、一般市民に対し、事業報告書や財務諸表だけでなく、定款、役員名簿、役員報酬規程 の閲覧が義務付けられている。 ○また、一般社団法人・一般財団法人、公益社団法人・公益財団法人は、貸借対照表の公 告(官報、日刊紙、電子公告による公表)が義務付けられており、大規模法人(負債額200 億円以上)では、損益計算書の公告も義務付けられている。 (財務諸表の公表状況) ○ 2013(平成25)年5月に厚生労働省が社会福祉法人に2012(平成24)年度の財務諸表の 公表を要請しているが、2013(平成25)年7月末時点で、ホームページ又は広報誌のいず れかで公表した法人は全体の52.4%、所轄庁における公表は9.7%にとどまっている。 ○ 内訳を見ると、事業別では保育所の公表率が低く、所轄庁別では、一般市が所管する法 人の公表率が低い傾向にあり、比較的規模の小さい法人において取組が進んでいない実情 が窺える。 (社会福祉法人の情報公開の基本的な考え方) ○ 社会福祉法人は公的性格の非営利法人であり、補助金や税制優遇を受けている。地域住 民等の信頼を確保し、活動に対する理解を深めるため、透明性の確保は重要であり、法人 に関する情報は個人情報に属するものを除き、すべて公表していく必要がある。 (2)当検討会の意見 ア 社会福祉法人の財務諸表等の公表 (財務諸表等の公表の義務化) ○法人運営の透明性を確保するため、法人の運営状況や財務状況(以下「財務諸表等」と いう。)については、2014(平成26)年度以降(平成25年度決算分以降)、全ての社会福 祉法人において、ホームページで公表すべきである。また、所轄庁においても所管する法 人の財務諸表等を全て公表するべきである。社会福祉法人の財務諸表等の公表については、 法律上の義務とすることを検討するべきである。 (財務諸表等の様式の統一化) ○国民に分かりやすく情報提供する観点から、法人によって公表項目に差が出ないよう、 財務諸表等の公表様式について、統一的に定めるべきである。 (剰余金の使途・目的の明確化) ○剰余金を具体的な使途もなく積み立てることは、事業の利益を社会福祉事業や地域に還 元する非営利法人としての使命が果たされている状態とは言えない。剰余金については、 目的を持った積立金として整理することや、積み立ての目標や積立額について、法人が利 用者や地域住民など広く国民一般に説明責任を果たす仕組みを検討するべきである。 (定款・役員報酬規程等の公表) ○社会福祉法人は、公益法人の特別法人であるという位置付けであることに鑑み、公益社 団法人・公益財団法人において「閲覧」書類とされている定款や役員名簿、役員報酬規程 等について、社会福祉法人には「公表」を義務付けることを検討するべきである。 イ 地域における活動についての公表 (地域における公益的な活動についての公表) ○社会福祉法人の情報公開については、地域住民の理解を得ていくため、財務諸表等だけ でなく、法人の理念や事業、地域における公益的な活動等の非財務情報についても財務情 報と併せて、利用者や地域住民にわかりやすく公表することを推進するべきである。 ウ 都道府県、国単位での情報集約 (都道府県や国で集約するシステムの構築) ○各法人や所轄庁で公表するだけでなく、都道府県や国で法人の財務諸表等を集約し、経 営状況を分析するシステムの構築を検討するべきである。 (補助金の額の情報公開) ○都道府県や国で財務諸表等を集約するシステムを構築し、社会福祉法人に対する補助金 の額を公表することを検討するべきである。 エ 経営診断の仕組みの導入 (経営診断の仕組みの導入) ○経営支援については、既に取組が実施されてきているが、法人経営の透明性の確保のた め、情報公開と併せ、客観的な指標を用いた法人の経営状況の診断を行い、地域住民等へ の説明責任や社会福祉法人の経営支援に資する仕組みを導入するべきである。 5.法人の監督の見直し (1)当検討会の現状認識 (今後の権限移譲を踏まえた監督の在り方) ○社会福祉法人の所轄庁については、第二次地方分権推進一括法の施行に伴い、2013(平 成25)年4月1日から、事業範囲が一般市の範囲である法人は、都道府県から一般市に所 轄庁が権限移譲され、所轄庁の数は108から838へと大幅に増加している。 ○2013(平成25)年7月に公表された権限移譲の施行状況調査では、社会福祉法人の所轄 庁の事務について、具体的な支障があると回答した地方公共団体が12.1%と他の事務と比 べて高い割合になっており、新所轄庁である一般市においても、移譲された事務の対応に 苦慮している実情がうかがわれる。 ○地方分権については、「事務・権限の移譲等に関する見直し方針について」(平成25年 12月20日閣議決定)によって、複数の都道府県に事務所がある社会福祉法人について、主 たる事務所の所在地の都道府県が所轄庁になるなど、更に権限移譲を進めることが予定さ れており、所轄庁の連携や監査能力の向上と平準化に取り組んでいく必要がある。 (社会福祉法人の目的達成支援のための行政指導) ○当検討会では、一部の所轄庁において、措置制度の時代と変わらない画一的な行政指導 や、ローカルルールと言われるような過剰規制が指摘されるなど社会福祉法人の地域ニー ズに対応した活動を阻害しているという意見もあった。 ○社会福祉法人が今日的な役割を果たし、地域における公益的な活動を推進するためには、 所轄庁の行政指導についても、法人の育成支援の観点から、責務を果たす法人は支援し、 果たさない法人は厳しく指導するといった、メリハリのあるものに変えていく必要がある。 (財務状況に係る監査) ○当検討会では、社会福祉法人が作成している財務諸表の中には、財務諸表の借方と貸方 が合わないなど、基本的な誤りが存在するという指摘がなされた。 ○財務諸表は法人の経営動向を明らかにする基礎的資料であり、当然正確なものでなけれ ばならない。また、これは所轄庁に対して現況報告書の添付書類として提出されており、 財務諸表に関する所轄庁の監査能力・体制を懸念する意見もあった。 ○なお、公益社団法人・公益財団法人では、一定規模以上の法人については、会計監査人 (公認会計士又は監査法人)の設置が義務付けられており、学校法人においても、1,000万 円以上の補助金を受ける場合は、公認会計士又は監査法人による監査が義務付けられてい る。 (第三者評価の受審促進) ○第三者評価については、受審費用や評価機関の質を理由に受審が広まっていない。福祉 サービスの質の向上のためには、外部からのサービスの質の評価は非常に重要であり、一 層の活用が必要である。 (2)当検討会の意見 ア 所轄庁の法人監査の見直し (行政による監査、外部監査、第三者評価等の役割の整理) ○法人監査、施設監査、第三者評価、介護サービス情報の公表制度など、法人活動の評価 方法は多様である。これらの制度の運用が、法人にとって過度な負担とならないよう、項 目の重複や時間的な隔たりがないよう、それぞれの役割を明確にするとともに、実施方法 の配慮など工夫すべきである。 ○法人監査については、運営状況に係る監査と財務に係る監査を峻別し、財務に係る監査 については、外部監査の活用を積極的に図るなどの見直しを検討するべきである。 (法人監査の仕組みの見直し) ○法人監査の中で、定款の内容や理事会等の開催状況だけでなく、地域における公益的な 活動の実施状況やサービスの質の向上への取組も確認するなど、監査の仕組みの変更を検 討するべきである。 (法人の育成を支援するための環境整備) ○定款の記載事項については、法人が地域ニーズに柔軟に対応できるよう、法人の育成支 援の観点から、一定程度、法人の自由度が確保されるよう見直しを検討するべきである。 (法人の設立認可の要件の見直し) ○社会福祉法人の設立認可は、現在、資産だけを基準にしているが、現行の資産要件に加 えて、NPO等における事業実施やボランティア等での活動実績を重要な要件とするなど、 福祉への実績あるいは関心・理解のある者が参入できる仕組みとなるよう見直しを検討す るべきである。 イ 財務に係る外部監査の活用等 (外部監査の義務化) ○一定の規模以上の社会福祉法人については、公認会計士等の専門家による外部監査を義 務付けることを検討するべきである。 (外部監査における留意点) ○社会福祉法人は営利法人と異なり、剰余金が適切に社会福祉事業や地域への還元に使わ れているかという点が重要であり、監査の視点が異なってくることに留意することが必要 である。 (正確な会計帳簿等の作成に向けた環境整備) ○会計帳簿は財務諸表の作成の元となる書類であり、適時・正確な会計帳簿が作成される ことが重要であるため、社会福祉法においても必要な法令の整備を検討するべきである。 ウ 所轄庁の連携、監督能力の強化 (所轄庁の連携) ○社会福祉法人の所轄庁の権限移譲が更に進むことを踏まえ、社会福祉法人の所轄庁と当 該社会福祉法人の運営する事業所が所在する地方公共団体との連携の仕組みを検討するべ きである。 (所轄庁の監督能力の強化) ○所轄庁の監督能力の向上のため、指導監督内容を統一するための基準の策定やブロック 単位での研修を実施することを検討するべきである。 (全国の法人を把握する仕組み) ○所轄庁だけでなく、国において全国の社会福祉法人の現況を把握する仕組みを構築する べきである。 エ 第三者評価の受審促進 (受審促進のための方策) ○第三者評価の受審促進のため、所轄庁に提出する事業計画書に受審の有無の記載をさせ るなど、法人の自主的な判断によって、多くの法人で第三者評価の受審が進むよう具体的 な方策を検討するべきである。 ○また、第三者評価の受審結果については、利用者等が見られるよう、事業所の玄関に掲 示することや、各法人の受審状況を都道府県単位で一覧できる仕組みを検討するべきであ る。 (評価機関の能力向上) ○評価機関や調査者による評価のバラつきを是正するため、評価機関の指導をする都道府 県推進組織の能力向上や、研修実施やマニュアルの徹底により、評価機関の共通基盤を作 っていくことを検討するべきである。 ○評価機関の評価実績や所属する評価調査者の情報公表を促進するなどの環境整備を進め、 受審を希望する法人が全国のどの評価機関も自由に選べるよう、運用の見直しを検討する べきである。 (第三者評価以外の評価方法の活用) ○ISOや地域で社会福祉法人の取組を評価する仕組みなど、多様な評価方法について、 福祉サービスの質を担保する方法として広義の第三者評価の枠組みと捉え、活用していく ことを検討するべきである。 3.厚生労働省「障害福祉サービス等報酬改定検討チーム」(第1回)が開催される  厚生労働省は、6月13日(金)に「障害福祉サービス等報酬改定検討チーム」(第1回) を開催しました。同検討チームは、障害福祉サービス等の平成27年度報酬改定に向けた検 討を、客観性・透明性の向上を図りつつ行うことを目的に開催されるものです(同検討チ ームの概要は、『障害福祉部関係ニュース 平成26年度1号(平成26年6月9日発行)』にお いて、「社会保障審議会障害者部会」(第56回)の開催報告にてご報告済みですので、併 せてご参照ください)。  第1回会合では、厚生労働省から障害福祉制度を取り巻く状況に関する説明に引き続き、 平成27年度報酬改定に向けた今後の検討の進め方について説明がありました。平成26年内 は関係者からのヒアリングも含めて報酬改定に向けた議論を月1〜3回程度実施し、12月 中旬には報酬・基準に関する基本的な考え方を整理し、来年1月に報酬改定の概要案を障害 者部会に報告するとのスケジュールが示されました。  あわせて、検討チームの議論の状況は障害者部会に報告し、そこで出た意見を検討チー ムにフィードバックすること、障害福祉サービス等経営実態調査の結果(10月末とりまと め予定)を参考にすること等の説明がありました。  その後、構成員やアドバイザーでの意見交換が行われました。参加者(アドバイザー) からは共通して「人材育成」「処遇改善」に係る問題意識があげられました。その他の意 見として、「国内の景気が回復基調にあるなか、その担い手である従事者の確保・育成が 課題となっているため、報酬改定にかかる検討のなかで従事者の処遇・賃金についても検 討すべきではないか。また、重度の行動障害等を有する利用者は、障害支援区分だけでは 表すことができない要素がある。行動面に課題のある利用者をどう支援するか、また、サ ービス提供者に対するインセンティブをあわせて考えることが必要ではないか」などの指 摘がありました。  なお、今回のヒアリング対象団体は、24年度の報酬改定時にヒアリングの対象であった 団体を中心として、今回新たに全国知事会、全国市長会、全国町村会、日本難病・疾病団 体協議会が加わり、計38団体とされました。また、限られた時間の都合上、対象団体以外 からも文書による意見提出をお願いする、とされています。  次回は、7月15日(火)に第1回の関係団体ヒアリングが、続いて7月25日(火)に第2回 の関係団体ヒアリングが開催される予定です。  当日の配布資料は、以下のURLにてご参照ください。 [厚生労働省]ホーム>政策について>審議会・研究会等>社会・援護局  http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000000almx.html  4.厚生労働省通知「社会福祉法人の認可について」の一部改正  平成26年5月29日に「「社会福祉法人の認可について」の一部改正について」(厚生労働 省雇用均等・児童家庭局長、社会・援護局長、老健局長連名通知)が各都道府県、指定都 市等の自治体へ発出されました。  これにより、社会福祉法人は社会福祉法第59条に基づき、現況報告書及び添付書類とし ての貸借対照表・収支計算書について、インターネットを活用し公表することが義務化さ れました。  なお、ホームページが存在しないことにより公表が困難な法人等については、所轄庁の ホームページにおいて当該法人の現況報告書等を公表することになります。  詳細は、下記のとおりです。 1.改正の趣旨  社会福祉法人は、公益性の高い法人であり、社会的な責任が大きいことを鑑みれば、国 民に対して経営状態を積極的に公表し透明性を確保することにより、国民から法人に対す る理解を得る努力を行うことは法人の責務である。  また、社会福祉法人の経営情報は、福祉サービスの利用を希望する者にとって、サービ スを選択する上で重要な判断要素となる。  このため、社会福祉法人の経営情報の公表について、以下のとおり対応するため、「社 会福祉法人の認可について(平成12年12月1日厚生省大臣官房障害保健福祉部、社会・ 援護局、老人保健福祉局、児童家庭局長連名通知)」を改正するものである。 2.主な改正内容等(概要のみ抜粋) 1.現況報告書の様式改正について (1)現況報告書について、平成12 年通知において様式例であったものを統一的な報告様 式として位置づけ直す。 (2)現況報告書の添付書類である貸借対照表及び収支計算書についても、所轄庁へエク セル形式による電子ファイルで提出する。ただし、平成26年度提出分(平成25年度 決算)に限り、以下のとおり取り扱う。 ・新会計基準を適用する法人であって、PDF形式による電子ファイル又は書面で の提出のみが可能な会計システムを使用する法人については、1年の経過措置を 設け、平成26年度提出分(平成25年度決算)に限り、新会計基準に基づき作成し た貸借対照表及び収支計算書をPDF形式による電子ファイル又は書面での提出 が可能。 ・新会計基準以外の会計基準を適用する法人については、1年の経過措置を設け、 平成26年度提出分(平成25年度決算)に限り、各法人が適用する会計基準に基づ き作成した貸借対照表及び収支計算書をPDF形式による電子ファイル又は書面 での提出が可能。   なお、平成27年度提出分(平成26年度決算)以降については経過措置は終了し、全 ての法人からエクセル形式による電子ファイルでの提出となる。 2.現況報告書等の公表及び公表上の取扱いについて (1)法人は、現況報告書並びに添付書類である貸借対照表及び収支計算書(以下「現況 報告書等」)について、インターネットを活用し、公表しなければならない。 (2)現況報告書および添付書類である貸借対照表及び収支計算書の公表は、エクセル形 式又はPDF形式による電子ファイルで行う(経過措置あり)。 (3)所轄庁は、所管する法人のうち、ホームページが存在しないことにより公表が困難 な法人等が存在する場合には、所轄庁のホームページにおいて当該法人の現況報告 書等を公表する。 3.施行日  平成26年4月1日 5.「難病の患者に対する医療等に関する法律」(難病法)が成立  平成26年5月30日、「難病の患者に対する医療等に関する法律」(難病法)と児童福祉法 の一部を改正する法律の2法が公布されました。難病法の目的は、これまで予算事業だっ た不安定な難病対策から、特定医療費(医療費助成)の助成制度や診断、治療、研究体制 などを法制化し、持続可能な安定した制度とすることであり、その概要は下記のとおりで す。  なお、本法律は、平成27年1月からの施行となります。 難病の患者に対する医療等に関する法律(平成26年5月23日成立) 趣旨  持続可能な社会保障制度の確立を図るための改革の推進に関する法律に基づく措置とし て、難病の患者に対する医療費助成(注)に関して、法定化によりその費用に消費税の収 入を充てることができるようにするなど、公平かつ安定的な制度を確立するほか、基本方 針の策定、調査及び研究の推進、療養生活環境整備事業の実施等の措置を講ずる。 (注)現在は法律に基づかない予算事業(特定疾患治療研究事業)として実施している。 概要 (1)基本方針の策定  ・ 厚生労働大臣は、難病に係る医療その他難病に関する施策の総合的な推進のための 基本的な方針を策定。 (2)難病に係る新たな公平かつ安定的な医療費助成の制度の確立  ・ 都道府県知事は、申請に基づき、医療費助成の対象難病(指定難病)の患者に対し て。医療費を支給。  ・ 指定難病に係る医療を実施する医療機関を、都道府県知事が指定。  ・ 支給認定の申請に添付する診断書は、指定医が作成。  ・ 都道府県は、申請があった場合に支給認定をしないときは、指定難病審査会に審査 を求めなければならない。  ・ 医療費の支給に要する費用は都道府県の支弁とし、国は、その2分の1を負担。 (3)難病の医療に関する調査及び研究の推進  ・ 国は、難病の発病に機構、診断及び治療方法に関する調査及び研究を推進。 (4)療養生活環境整備事業の実施  ・ 都道府県は、難病相談支援センターの設置や訪問看護の拡充実施等、療養生活環境 整備事業を実施できる。 施行期日 平成27年1月1日 ※児童福祉法の一部を改正する法律(小児慢性特定疾病の患児に対する医療費助成の法定 化)と同日 なお、同法の附帯決議として次の事項が示されました(一部抜粋)。 五、「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律」に基づく障害福 祉サービスの対象となる難病等の範囲については、難病対策における指定難病の拡 大を踏まえつつ、社会的支援の必要性等の観点から幅広に判断すること。   加えて、同法に基づく基本指針並びに市町村障害福祉計画及び都道府県障害福祉計 画に沿って、難病患者の実態に即した適切な障害福祉サービスが提供できるよう必 要な支援を行うこと。  同時に行われた児童福祉法改正は、子どもの難病などに対する小児慢性特定疾病医療支 援事業の医療費助成を法定給付化するものです。  これらの法制化により、難病の医療費助成の対象は現行の56疾患、約78万人から約300疾 患、約150万人に拡大されます。小児慢性特定疾病医療支援の助成も現行の514疾患、約11 万人から約600疾患、約15万人に拡大されます。事業規模(国費)についても、両方を合わ せて現行の約1,600億円(13年度見込み)から約2,140億円(15年度)に増えると国は試算 しています。 児童福祉法の一部改正内容は、以下のとおりです。 児童福祉法の一部を改正する法律案( 閣法第二五号( 衆議院送付)要旨) 本法律案は、持続可能な社会保障制度の確立を図るための改革の推進に関する法律に  基づく措置として、小児慢性特定疾病に係る新たな公平かつ安定的な医療費助成の制度  の確立等の措置を講じようとするものであり、その主な内容は次のとおりである。  一 小児慢性特定疾病とは、児童等が当該疾病にかかっていることにより、長期にわたり    療養を必要とし、及びその生命に危険が及ぶおそれがあるものであって、療養のため に多額の費用を要するものとして、厚生労働大臣が定める疾病をいう。また、小児慢 性特定疾病医療支援とは、都道府県知事が指定する医療機関に通い、又は入院する小 児慢性特定疾病にかかっている児童等であって、当該疾病の状態が厚生労働大臣が定 める程度であるものに対し行われる医療( 当該小児慢性特定疾病に係るものに限る) をいう。 二 厚生労働大臣は、良質かつ適切な小児慢性特定疾病医療支援の実施その他の長期にわ たり療養を必要とする児童等の健全な育成に係る施策の推進を図るための基本的な方 針を定めるものとする。 三 都道府県は、医療費支給認定に係る小児慢性特定疾病児童等が、都道府県知事が指定 する医療機関から小児慢性特定疾病医療支援を受けたときは、当該児童等に係る医療 費支給認定を受けた保護者に対し、小児慢性特定疾病医療費を支給する。 四 医療費支給認定を受けようとする小児慢性特定疾病児童等の保護者は、都道府県知事 の定める医師の診断書を添えて、都道府県に申請しなければならない。都道府県は、 当該児童等が小児慢性特定疾病医療支援の要件に該当すると認められる場合には、小 児慢性特定疾病医療費の支給認定を行うものとする。医療費支給認定をしないことと するときは、小児慢性特定疾病審査会に審査を求めなければならない。 五 都道府県は、小児慢性特定疾病児童等自立支援事業として、関係者からの相談に応じ、 必要な情報の提供及び助言を行うとともに、関係機関との連絡調整その他の便宜を供 与する事業等を行うものとする。 六 国は、小児慢性特定疾病の治療方法その他小児慢性特定疾病その他の疾病にかかって いることにより長期にわたり療養を必要とする児童等の健全な育成に資する調査及び 研究を推進するものとする。 七 三及び五に要する費用は、都道府県の支弁とする。国は、その二分の一を負担する。 八 この法律は、一部を除き、平成二十七年一月一日から施行する。 詳細は以下のURLよりご参照ください。 【厚生労働省】「難病の患者に対する医療等に関する法律案(第186回国会(常会)提出法律案)」 http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/nanbyou/index.html 【衆議院HP】 http://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_gian.nsf/html/gian/honbun/g18605024.htm