月刊 障害福祉関係ニュース 8月号(2)(障害福祉制度・施策関連情報) 平成22年度/8月号(2)(通算250号)平成22年8月30日発行 発行:全国社会福祉協議会 高年・障害福祉部 〒100-8980 東京都千代田区霞が関3-3-2 新霞が関ビル内 TEL:03-3581-6502 FAX:03-3581-2428 e-mail:z-shogai@shakyo.or.jp ◇◆◇今月号の掲載内容◇◆◇ T.障害福祉制度関連情報  1.厚生労働省「平成23年度予算概算要求・税制改正要望」が示される T.障害福祉制度関連情報 1.厚生労働省「平成23年度予算概算要求・税制改正要望」が示される (1)平成23年度 厚生労働省予算概算要求  平成22年8月26日、厚生労働省は、平成23年度予算概算要求をとりまとめました。  平成23年度予算概算要求は、医療、介護、福祉、雇用、年金等の各制度が相まって国民 一人一人が安心して暮らせる社会を目指し、「少子高齢社会を克服する日本モデル」の構 築に向けた第一歩として位置づけられています。  これまでの「消費型・保護型社会保障」を転換し、広く国民全体の可能性を引き出す参 加型社会保障(ポジティブ・ウェルフェア)の構築を目指し、「@いきいきと働く(労働 に参加する)」、「A地域で暮らし続ける(地域に参加する)」、「B格差・貧困を少な くする(機会の平等を実現し、社会に参加する)」、「C質の高いサービスを利用する (健康な暮らしに参加する)」ための必要な施策を推進することとされています(下図1、 2参照)。  一般会計全体では、28兆7,954億円(+1兆2,393億円)〔※( )内は平成22年度予算 額との増減額〕となっており、内訳として、「年金・医療等に係る経費」に27兆5,012億 円(+1兆2,359億円)、「総予算組替え対象経費」に1兆1,655億円(▲1,254億円)、 「元気な日本復活特別枠」に1,287億円(新規)となっています。 図1 平成23年度厚生労働省概算要求のフレーム 図2 「少子高齢社会を克服する日本モデル」の構築に向けた第一歩 @障害保健福祉関係  障害保健福祉関係では、「障害者支援の総合的な推進」として1兆2,453億円の概算要 求となっており、障害があっても当たり前に地域で暮らし、地域の一員として共に生活で きる社会を実現するため、障害者制度改革の検討を進めることと併せて、良質な障害福祉 サービスの確保や地域生活支援事業の着実な実施、精神障害者や発達障害者への支援施策 の推進等を図ることとされています。  「障害福祉サービスの確保、地域生活支援などの障害者支援の推進」では、1兆1,904 億円(+1,003億円)が要求されており、その内訳(一部)として、「良質な障害福祉サー ビスの確保」に6,492億円(+773億円)、「地域生活支援事業の着実な実施」に460億円 (+20億円)が盛り込まれています。  「障害者に対する良質かつ適切な医療の提供」では、2,106億円(+152億円)が盛り込 まれていますが、自立支援医療の利用者負担のあり方については、年末に向けて引き続き 検討することとされています。  また、「障害者に対する就労支援の推進」では、238億円(+8億円)が要求されてお り、「障害者就業・生活支援センター」の拡充(282か所→322か所)や、「工賃倍増5か 年計画」の着実な推進として、共同受注窓口組織の整備に対する補助および最終年度にお ける各都道府県での取り組みの検証などが計画されています。  新規事業では、「介護職員等によるたんの吸引等の実施のための研修事業(仮称)の実 施」(21億円)、「地域で生活する精神障害者へのアウトリーチ(訪問による支援)体制 の確立」(16億円)が盛り込まれています。  なお、総合福祉部会で検討の進む「全国在宅障害児・者実態調査(仮称)の実施」につ いては4.2億円が要求されています。 A生活保護制度関連  「新しい公共」と言われる企業、NPO、市民等と、行政とが協働し、社会から孤立す る生活保護受給者に対する様々な社会経験の機会の提供や、貧困の連鎖を防止するため、 生活保護世帯の子どもに対する学習支援を行うなど、生活保護受給者の社会的自立を支援 する取り組みを図るため「被保護者の社会的な居場所づくりの支援」(セーフティネット 支援対策等事業費補助金(200億円)の内数)が盛り込まれています。  また、生活保護に係る国庫負担は2兆4,703億円(+2,697億円)となっています。 B元気な日本復活特別枠  「元気な日本復活特別枠」は、デフレ脱却を含めた経済成長の実現、国民生活の安定・ 安全、「新しい公共」の推進など、元気な日本を復活させるための施策に予算の重点配分 を行う仕組みとして、今回の概算要求で創設されました。この「特別枠」の中には、障害 福祉施策関連として、@市町村による地域移行推進重点プラン(24時間緊急対応や緊急一 時的な宿泊等、障害者が地域で安心して暮らすための地域支援策を盛り込んだプラン)の 作成と支援体制の整備、A地域生活の核となるグループホーム等の住まいの場の整備(障 害福祉計画の目標:8.3万人分)、B在宅の精神障害者へのアウトリーチ(訪問支援)事 業(47都道府県で実施)を盛り込んだ「障害者の地域移行・地域生活支援のための緊急体 制整備事業」(126億円)が盛り込まれています。  また、生活保護制度関連では、やむなく路上生活を送っている方や地域において孤立し 様々な生活課題を抱えている方などに、住まいの確保や食事の提供、心や健康に関する相 談を行うなどの総合的な支援を行うNPO等の民間団体に対し、新たに活動助成(全国で 250程度の団体)を行う「貧困・困窮者の『絆』再生事業」(76億円)が盛り込まれてい ます。  なお、これらの「特別枠」の中に盛り込まれた事業は、個別の分野の中で示された同事 業と別立てのものとして要求されているものではなく、「特別枠」で示されたものが、そ れぞれの個別分野の中に盛り込まれるかたちで概算要求されています。 <厚生労働省 平成23年度予算概算要求の主要事項> ※( )内は平成22年度予算額 第3 厳しい経済環境下における雇用・生活安定の確保  7 障害者に対する就労支援の推進 238億円(230億円)   (1)雇用率達成指導、地域の就労支援の強化等 79億円(81億円)   (2)障害特性や働き方に応じた支援策の充実・強化 27億円(21億円)   (3)障害者の職業能力開発支援の強化 59億円(60億円)   (4)「工賃倍増5か年計画の着実な推進」 6億円(7.9億円) 第7 障害者支援の総合的な推進  1 障害福祉サービスの確保、地域生活支援などの障害者支援の推進 1兆1,904億円    (1兆901億円)   (1)良質な障害福祉サービスの確保 6,492億円(5,719億円)   (2)地域生活支援事業の着実な実施 460億円(440億円)   (3)障害者に対する良質かつ適切な医療の提供 2,106億円(1,954億円)   (4)障害福祉サービス提供体制の整備 136億円(124億円)   (5)障害者虐待防止等に関する総合的な施策の推進 4.7億円(4.7億円)   (6)全国在宅障害児・者実態調査(仮称)の実施 4.2億円   (7)介護職員等によるたんの吸引等の実施のための研修事業(仮称)の実施(新規)      21億円  2 地域移行・地域定着支援などの精神障害者施策の推進 303億円(282億円)   (1)地域で生活する精神障害者へのアウトリーチ(訪問による支援)体制の確立      (新規)16億円   (2)精神障害者の地域移行・地域定着支援の推進 6.7億円(17億円)   (3)認知行動療法の普及の推進 98百万円   (4)精神科救急医療体制の整備 20億円(23億円)   (5)心神喪失者等医療観察法の医療提供体制の確保 254億円(235億円)  3 発達障害者等支援施策の推進 7.8億円(7.5億円)   (1)発達障害者の地域支援体制の確立 2億円(2億円)   (2)発達障害者の支援手法の開発や普及啓発の着実な実施 3.9億円(5.4億円)   (3)発達障害者等の支援のための巡回支援専門員の整備(新規) 1.6億円   (4)高次脳機能障害者の支援体制の確立 29百万円(12百万円)  4 障害者に対する就労支援の推進 238億円(230億円)   (1)雇用率達成指導、地域の就労支援の強化等 79億円(81億円)   (2)障害特性や働き方に応じた支援策の充実・強化 27億円(21億円)   (3)障害者の職業能力開発支援の強化 59億円(60億円)   (4)「工賃倍増5か年計画」の着実な推進 6億円(7.9億円)【再掲】 第9 暮らしの安心確保  2 被保護者の自立支援に向けた生活保護制度の適正な実施   (1)被保護者の社会的な居場所づくりの支援      セーフティネット支援対策等事業費補助金(200億円)の内数   (2)就労支援員の確保   (3)生活保護に係る国庫負担 2兆4,703億円(2兆2,006億円)  3 地域福祉の推進   (1)貧困・困窮者の「絆」再生事業(新規) 76億円   (2)生活・居住セーフティネット支援事業(新規) 60億円  4 就労自立を支える「居住セーフティネット」の整備 (2)平成23年度厚生労働省税制改正要望    平成23年度税制改正要望も平成23年度予算概算要求とあわせて、「少子高齢社会を克服 する日本型社会保障(ポジティブ・ウェルフェア)」の構築を目指し、「@いきいきと働 く(労働に参加する)」、「A地域で暮らし続ける(地域に参加する)」、「B格差・貧 困を少なくする(機会の平等を実現し、社会に参加する)」、「C質の高いサービスを利 用する(健康な暮らしに参加する)」ための必要な施策を推進することとされています。  障害者施策関連では、障害者を多数雇用する場合の機械等の割増償却制度並びに不動産 取得税の減額措置及び固定資産税の課税標準の特例措置について、その適用期限を2年間 延長することが盛り込まれています。  また、これまで、障害者自立支援法に基づくサービス事業用地として土地の譲渡を行う 際、第2種社会福祉事業の障害者通所サービス、グループホーム等は、譲渡所得の特別控 除が適用できませんでしたが、今回の要望では、同じ第2種社会福祉事業の保育所や老人 デイサービス等と同様に、譲渡所得の特別控除が適用できるよう対象範囲の拡充が盛り込 まれています。 <平成23年度厚生労働省税制改正要望の主な事項> <目的@>いきいきと働く  障害者を多数雇用する事業所に対する税制上の特例措置の延長 新成長戦略   障害者を多数雇用する場合の機械等の割増償却制度並びに不動産取得税及び固定資産  税の特例措置の適用期限を延長する。 <目的A>地域で暮らし続ける  譲渡所得に関する特別控除の特例の障害者通所サービス等への範囲の拡充   障害者自立支援法に基づくサービス事業用地として土地の譲渡を行う際に、第2種社  会福祉事業である保育所や老人デイサービスセンターについては、簡易な証明により譲  渡所得に関する特別控除の適用が受けられるが、同じく第2種社会福祉事業でありなが  ら、適用外となっている通所サービスやグループホーム等についても同様の措置を講じ  る。 [厚生労働省] 平成23年度厚生労働省所管概算要求関係 http://www.mhlw.go.jp/wp/yosan/yosan/11gaisan/index.html 平成23年度厚生労働省税制改正要望について http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000000nwfd.html