障害福祉部ニュース (障害福祉制度・施策関連情報) 2008年11月28日 20(通算210号) 発行:全国社会福祉協議会・障害福祉部 〒100-8980 東京都千代田区霞が関3-3-2 新霞が関ビル内 TEL:03-3581-6502  FAX:03-3581-2428 e-mail:z-shogai@shakyo.or.jp 1.第46回社会保障審議会障害者部会の開催  平成20年11月27日、第46回社会保障審議会障害者部会が開催され、前回に引き続き「こ れまでの議論の整理(案)」に基づいて審議が進められた。 検討すべき主な論点(追加)  事務局(厚生労働省)がこれまでの審議会での議論を整理した「これまでの議論の整理 (案)」の中で、地域移行を支えるコーディネート機能について、「@施設入所者や精神 科病院の入院者についても、退所・退院に向けて、サービス利用計画作成費の対象者とし てケアマネジメントを行い、計画的に支援をする。A入所・入院者の地域移行に向けて、 退所・退院後の生活を見据え、地域の福祉サービスの見学・体験や、地域生活の準備等の ための外出の支援など必要な支援について給付の対象とする」などがさらに検討すべき論 点として示された。  また、これまでの審議の中でさまざまな意見が出されたサービス体系の在り方について、 「『月払い』に戻した場合、利用者が月に数日しか利用しないときや、利用者が複数の日 中活動サービスを利用したときに、それぞれの事業所の1か月分の費用を支払うこととな るが、給付費や利用者の負担の増大を避ける方法があるか」、「『日払い』方式を維持し た場合、サービス事業者の安定的な運営が可能となるよう、報酬改定等において必要な措 置を講じていくべきではないか」などが論点が追加された。 各委員による意見交換  各委員による意見交換の中で、 「利用者負担は所得保障と密接な関係があり、所得保障がない中で払いたくても払えない 現状もある。少なくとも現在行われている負担軽減措置は継続していただきたい。また利 用者負担の合算についても、補装具だけでなく、医療も含めた全てを合算した負担上限額 としてほしい」、 「前々回の部会における日払いの論議において、委員から『実際に日払いによってサービ ス選択による利用がどれくらい増えたのかのデータがないと議論が進まない』との意見が あったが、その後の状況はどうなったのか。(厚生労働省より「次回(12月3日)に提示 できるよう準備を進めている」との回答あり)」、 「ショートステイ(短期入所)について、障害者支援施設と比べてその報酬が低く、また 利用者のニーズに応じた柔軟な利用形態を実現する観点から、日中と夜間を切り分けた報 酬体系とし、日中部分(生活介護等)の報酬算定を可能にするとともに、夜間部分につい ての適切な報酬単価の設定をお願いしたい」、 「一般就労につながることは難しいが、働きたいと願う障害のある方々が多くいるという 現実があり、就労継続支援B型事業のニーズは非常に大きい。施行後3年の見直しに向け てこのような方々を受け止めることのできる体制の強化、就労継続支援事業の職員配置基 準と報酬単価の抜本的な見直しをお願いしたい」、 「当時の柳澤厚生労働大臣が『現在入所している人を施設から追い出すようなことはしな い』と答弁したが、なぜこれらの人が施設に入所することになったのかを考えていかなけ ればならない。それぞれ施設に入所した事情があり、入所施設を利用しなければ生きてい けない人については当然入所施設が必要であるが、地域で生きていくという方向性も一方 で重要であり、自立支援法の理念である地域生活移行のための施策に軸足をおいていくべ きだと考える」、 「自立支援法の見直しの方向性として、障害者権利条約との整合性はどうするのか。(厚 生労働省より『障害者権利条約では幅広いことが示されており、関係省庁と外務省で国内 法との整理を図っているが、関連する個別条項については我々のところで一つひとつ整理 してお示しさせていただきたい』との回答あり)」等の意見が出された。  その他、各委員からの主な意見は以下のとおり。  -------------------------------------------------------------------------- 第46回社会保障審議会障害者部会(11月27日)における各委員からの主な意見   「これまでの議論の整理(案)」に基づく全体的な議論   【(T)相談支援】   (Aケアマネジメントの在り方) ・訓練等給付について、優先度の順位づけのために障害程度区分のアセスメ ントを行うことになっているが、必要ないと考えている。(厚生労働省よ り「訓練等給付についても、例えば一般就労できない人に対してどういう サービスが必要なのかを把握することなどを含め、ケアマネジメントない しアセスメントは必要」との意見あり)   【(U)地域における自立した生活のための支援】   (@地域での生活の支援) ・ショートステイ(短期入所)について、障害者支援施設と比べてその報酬 が低く、また利用者のニーズに応じた柔軟な利用形態を実現する観点から、 日中と夜間を切り分けた報酬体系とし、日中部分(生活介護等)の報酬算 定を可能にするとともに、夜間部分についての適切な報酬単価の設定をお 願いしたい。 ・ショートステイについて、これまで精神分野では生活訓練施設でその役割 を担ってきたが、昼夜一体での支援も必要であり、グループホームに移行 させていく役割が必要だと思う。また、福祉ホームにおいてもショートス テイが実施できるなど、さまざまなバリエーションを持たせることが必要 ではないか。 ・精神障害者本人や家族には、ショートステイなどのレスパイト(休息)で きる場が必要。本人が様々なところを選べるようにしてほしい。 ・ショートステイの利用については本人の意向が重要。本人の意向に沿わな い形でショートステイや通所施設との併用を市町村が強要する場合も多い。 このようなことがないよう、国が積極的に関与するとともに法律に明記す ることが必要だと思う。 ・知的障害の分野では入所施設がショートステイを行っているところが多く、 昼夜一体の支援が必要なところも多くあると思う。 ・「医療的なケアが行えるサービスの充実」は重要な論点であり、医療的ケ アを受けながら生活することを望む利用者に対応するため、医師との連携 を図りつつ、看護師を含めた重度障害者のための支援体制を確立していく 必要がある。 ・私の施設でもショートステイを行っているが、医療的ケアが必要な人につ いてはお断りしている現状がある。必要なスタッフ確保のため、医師・看 護師の配置に対する加算をお願いしたい。    ・ショートステイの利用について、支給決定を待つことなく緊急的な利用が できるようお願いしたい。 ・重い障害の人だけを集めるケアホームはいかがなものか。障害の重い人と 軽い人が共に支え合うことが地域生活移行時にも有効である。ケアホーム とグループホームを分けるのではなく、一体的な制度として行う必要があ るのではないか。   (A就労支援) ・一般就労につながることは難しいが、働きたいと願う障害のある方々が多 くいるという現実があり、就労継続支援B型事業のニーズは非常に大きい。 施行後3年の見直しに向けてこのような方々を受け止めることのできる体 制の強化、就労継続支援事業の職員配置基準と報酬単価の抜本的な見直し をお願いしたい。 ・労働施策の入口から入った障害者職業能力開発校では訓練手当が出ている 一方、福祉施策の入口から入った就労移行支援事業では利用者負担が発生 しているという現状はどう考えてもおかしい。今後、委員のみなさまの力 を得て、将来的な福祉施策と労働施策の本格的統合を見据えた議論を早急 に始めていく必要がある。障害者の働く支援に対する思いを共有しつつ、 新たな歩みをお願いしたい。 ・学齢期の障害児を支援する我々の立場から見ても、就労支援に対する福祉 施策と労働施策との間にずれがあると感じている。就労移行支援事業等の 標準利用期間の問題について、基本的な考え方はよいと思うが、高齢に よってリタイヤしたり、就職したが続かなかった人の再訓練の仕組みもき ちんと位置付けていただきたい。また、特別支援学校の訓練計画をきちん と出せる仕組みを確立した上で、就労移行支援事業を経なくても就労継続 支援B型事業を利用できるように考えてほしい。 ・一般就労に向けて自立できる人のことばかり議論しているように思うが、 障害のある人の老化は比較的早く、50歳くらいになると労働能力が低下し て一般企業等で働くことが難しくなる人も多い。このような社会からリタ イヤしていく人の受け皿についても考えてほしい。  (B所得保障) ・所得保障は障害者にとって必要である。社会保障制度全般の一体的な見直 しとの整合性をとるだけでなく、例えば地域移行手当など、障害者独自の ものを考える必要があるのではないか。 ・精神障害者には無年金の人が多く、このような人への所得保障をお願いし たい。   【(W)障害者の範囲】 ・身体障害者と手帳との関係について、自立支援法以外の多くの制度に手帳 が活用されており、この部会で手帳をどうするかの議論は難しいと思う。 さらに広い視野での議論を始めていく必要がある。 ・手帳制度はとりあえず現状のままとしていただきたい。 ・障害者の範囲や手帳制度の見直しについて、長期的な見直しについては専 門的なところで別建ての議論をする必要がある。短期的な見直しについて は発達障害や難病を含めるかどうか、事務局で現状の課題を整理していた だいた上で考えていく必要がある。   【(X)利用者負担】 ・利用者負担は所得保障と密接な関係があり、所得保障がない中で払いたく ても払えない現状もある。少なくとも現在行われている負担軽減措置は継 続していただきたい。また利用者負担の合算についても、補装具だけでな く、医療も含めた全てを合算した負担上限額としてほしい。 ・親なき後の子どものための預貯金によって負担軽減の対象とならない問題 があり、利用者負担軽減の対象とならない資産要件は撤廃していただきた い。   【(Y)報酬】 ・定員40人以下の入所施設や20人以下の通所施設など、小規模施設の運営は 非常に厳しい現状にある。このような小規模施設の基準上の柔軟な扱いや 報酬上の配慮が必要である。   【(Z)個別論点】   (@サービス体系) ・自立支援法では介護給付と訓練等給付とに分かれ、さらにその中で多くの サービス事業に分かれており、与党PT報告書に示されている事業体系の 簡素化を図っていただきたい。事業ごとに障害程度区分による利用制限が あることも大きな問題である。 ・入所施設は閉鎖的との批判があるが、地域に向けた事業を行い、地域との 関わりができているところについては事業の透明性が高くなっている。入 所施設が変わっていくためにも、地域に向けた事業を積極的に行えるよう な仕組みを考えていく必要がある。 ・前々回の部会における日払いの論議において、委員から「実際に日払いに よってサービス選択による利用がどれくらい増えたのかのデータがないと 議論が進まない」との意見があったが、その後の状況はどうなったのか。 (厚生労働省より「次回(12月3日)に提示できるよう準備を進めている」 との回答あり) ・私がもし事業者の立場ならば事業所の経営安定の面から日払い方式に反対 すると思うが、利用者の立場からは選択肢が増えることに期待しており、 よいサービスを提供するところは生き残り、そうでないところは淘汰され るという仕組みも必要だと思う。障害者施策に市場原理を持ち込むことへ の批判はあると思うが、これまでの現状を変えて新たなものを創り出して いくという視点も必要である。しかしながら今の単価のままでは時代の ニーズに合ったサービスを提供している事業者さえも衰退するだけである。 そのような事業者がきちんと経営できるような単価とする必要がある。 ・「障害者支援施設について、日中活動として就労継続支援事業を併せて行 うことができないこととされているが、障害者自立支援法の趣旨を踏まえ つつ、どのように考えるか」と示されていることについて、働きたいが、 現段階において地域生活は難しいという人も少なからずおり、新規の利用 者であっても、地域生活支援策の整備が整うまでの間は、就労継続支援事 業利用者の施設入所支援の利用を認めるとともに、その利用を可能とする ため、個室化など利用者の居住環境の改善を前提として障害者支援施設が 行うことのできるサービスに就労継続支援事業を含めていただきたい。そ の次の「平成18年の新法施行前より旧法に基づく入所授産施設に入所して いる者については、平成24年3月末までは施設入所支援と就労継続支援を 組み合わせて利用することが可能とされているが、経過措置期間が終わる 平成24年4月以降についても同様の取扱いとすべき」と示されていること について、新法施行後(平成18年10月以降)に旧法の入所授産施設に入所 した者もおり、これらの人の行き場がなくなってしまう。平成18年10月以 降に入所した人についても同様の取扱いとしていただきたい。 ・当時の柳澤厚生労働大臣が「現在入所している人を施設から追い出すよう なことはしない」と答弁したが、なぜこれらの人が施設に入所することに なったのかを考えていかなければならない。それぞれ施設に入所した事情 があり、入所施設を利用しなければ生きていけない人については当然入所 施設が必要であるが、地域で生きていくという方向性も一方で重要であり、 自立支援法の理念である地域生活移行のための施策に軸足をおいていくべ きだと考える。   (B地域生活支援事業) ・地域間の格差が生じており、その背景には市町村の財政の問題がある。義 務的経費に変えていく必要があり、特に相談支援事業の義務的経費化をお 願いしたい。   (D虐待防止・権利擁護) ・障害者がDVに遭っている場合など、危機的な状況に陥っている場合につ いて、審査会の判断を待つのではなく、緊急時への対応策が必要である。   (Fその他) ・皆様からの批判も多いが、介護保険制度との関係について、財源の安定化 はもちろんのこと、今後の福祉施策のユニバーサルな展開のために将来的 な介護保険制度との統合を検討してほしい、という意見があったことを記 録に留めておいていただきたい。   【全体的な意見】    ・自立支援法の見直しの方向性として、障害者権利条約との整合性はどうす るのか。(厚生労働省より「障害者権利条約では幅広いことが示されてお り、関係省庁と外務省で国内法との整理を図っているが、関連する個別条 項については我々のところで一つひとつ整理してお示しさせていただきた い」との回答あり)    ・自立支援法の見直しの方向性として、長期的なものと短期的なものを整理 する必要がある。また、我々福祉関係者が当然良いと思っていることにつ いて、一般国民がどう思っているのかを考えていかなければならない。国 民の政策選択の中でしか障害者施策を進めることはできず、一人でも多く の国民の共感を得ていくことが必要である。  --------------------------------------------------------------------------  次回は12月3日に開催され、これまで2回にわたる「これまでの議論の整理(案)」に 基づいた議論を事務局(厚生労働省)が整理し、最終的なとりまとめに向けた審議が行わ れる予定。 〔参考URL〕【WAM NET】 http://www.wam.go.jp/ (「行政資料」→「審議会など」→「社会保障審議会」→「障害者部会」) ******************************************************************************** 2.障害者自立支援対策臨時特例交付金に基づく基金の延長・積増しについて  平成20年11月26日、厚生労働省より事務連絡「障害者自立支援対策臨時特例交付金に基 づく基金の延長・積増しについて」が発出された。  既報のとおり、10月30日に新たな経済対策に関する政府・与党会議、経済対策閣僚会議 合同会議の「生活対策」の中の「3.生活安心確保対策」として「障害者支援の拡充」が 位置づけられたところであるが、これにともない障害者自立支援対策臨時特例交付金に基 づく基金の延長・積増しによる事業所支援、新法移行支援、福祉・介護人材確保対策等を 行うことが示された。 ※概要については、別添資料を参照。 ******************************************************************************** 3.研究会・検討会の動向 「労働・雇用分野における障害者権利条約への対応の在り方に関する研究会」  平成20年11月26日、「第7回労働・雇用分野における障害者権利条約への対応の在り方 に関する研究会」が開催された。今回の検討会では、前回に引き続き、障害者関係団体 (@社団法人全国脊髄損傷者連合会、A日本難病・疾病団体協議会、B特定非営利活動法 人日本脳外傷友の会、C全国心臓病者友の会)からヒアリングが行われ、障害当事者の立 場から労働・雇用分野で求められる「合理的配慮」に関する意見が出された。 〔参考URL〕【WAM NET】 http://www.wam.go.jp/ (「行政資料」→「障害者福祉」→「調査研究・報告等」→「障害者雇用・就労関連」) 同封資料20(通算)210号 @ 事務連絡「障害者自立支援対策臨時特例交付金に基づく基金の延長・積増しについ て」