障害福祉部ニュース (障害福祉制度・施策関連情報) 2008年11月10日 17(通算207号) 発行:全国社会福祉協議会・障害福祉部 〒100-8980 東京都千代田区霞が関3-3-2 新霞が関ビル内 TEL:03-3581-6502  FAX:03-3581-2428 e-mail:z-shogai@shakyo.or.jp 1.第43回社会保障審議会障害者部会の開催  平成20年11月6日、第43回社会保障審議会障害者部会が開催され、「(Z)個別論点 (@サービス体系、A障害程度区分)を論点に審議が進められた。なお、予定されていた B地域生活支援事業、Cサービス基盤の整備、D虐待防止・権利擁護、Eその他に関する 審議は、次回行うことになった。  冒頭、事務局(厚生労働省)から今回の論点に基づく資料説明があり、サービス体系に ついては、@サービス体系の在り方、A標準利用期間、B新体系への移行について各論点 (案)が示された。中でも、サービス体系の在り方について、報酬の日払い方式や日中と 夜間の分離に関する現状と課題を分析し、「利用者がサービスを選択し、多様なサービス を組み合わせて利用することができるよう、『日払い方式』や、『日中と夜間』に分けた サービス体系としていることについて、どのように考えるか」等の論点が提案された。ま た、障害程度区分については、@各々の障害特性をより一層反映できる障害程度区分の開 発についての考え方、A障害程度区分によるサービス利用者の範囲の在り方、B訪問系 サービスに係る国庫負担基準に関して現状と課題が整理され、「現に施設に入所している 者であって、新体系の施設の入所の要件(障害程度区分)を満たさない者について、地域 移行を進めつつ、経過措置期間が終わる平成24年4月以降について、どのような対応が考 えられるか」等の論点が示された。  その後、各委員との意見交換が行われた。委員の中から、「利用者の選択や自己決定の 機会の拡大というものは、日払いにしたから実現できるものではないと理解している。日 払いになって選択が増えた実態があるなら示してほしい。また日払いになると事業者が利 用者に選択されることによってサービスの質が高まるという議論があるが、これも日払い から直接的に導き出されるものではない。自ら望む事業が十分になく、該当するサービス が選べない場合等を考えれば、そもそもどのようにして質が高いか低いかで選択すること が可能なのか。利用者負担が上がるから日払いという考えはおかしい。これまでの議論で は、多くの委員が日払いではなく月払いという意見だったのではないか」、「選択される ことでサービスの質が高まるということは、利用者である障害者も成長し、よりよいサー ビスを求めていくということにもつながり、さらに質を高めていくことになるのではない か。しかしそれで事業者が潰れるということになれば、しわ寄せが利用者にいくというこ とにも注意は必要である。サービス提供に市場原理を持ち込むといった場合には折り合い をしっかりとつけるべきである」、「新事業体系への移行の状況について、移行率が全体 で28.2%と示されているが、促進するためには何が必要なのか、進まない要因は何なのか しっかりと分析、議論する必要がある」、「障害程度区分によって利用できるサービスが 限定されてしまう点をどう考えるのか。障害程度区分とケアマネジメントを組み合わせる 方向でもっていくことができれば、本人の思いをきちんと汲んでいけるので、サービス利 用の限定という課題はなくすことができる」等の意見が出された。  その他、各委員からの主な意見は以下のとおり。  -------------------------------------------------------------------------- 第43回社会保障審議会障害者部会(11月6日)における各委員からの主な意見   (Z)個別論点   【@サービス体系】   (日払い方式) ・利用者の選択や自己決定の機会の拡大というものは、日払いにしたから 実現できるものではないと理解している。日払いになって選択が増えた 実態があるなら示してほしい。また日払いになると事業者が利用者に選 択されることによってサービスの質が高まるという議論があるが、これ も日払いから直接的に導き出されるものではない。自ら望む事業が十分 になく、該当するサービスが選べない場合等を考えれば、そもそもどの ようにして質が高いか低いかで選択することが可能なのか。利用者負担 が上がるから日払いという考えはおかしい。これまでの議論では、多く の委員が日払いではなく月払いという意見だったのではないか。 ・精神障害者の場合、状態が不安定で継続的に毎日利用するということが 困難。これで安定的な経営を可能にするというのは難しい。また日払い の請求事務が煩雑。事務に時間が取られる。 ・資料2−@ P.7のところで「月払いに戻すとなれば利用者による負担額 も増大する」と書かれているが、日払いのための誘導的な書き方なので はないか。月額負担上限額があるので利用者負担が増える人は少ない。 今年7月の緊急措置で個人単位を基本とする所得区分になって負担上限 額も引き下げられている。 ・社会就労センターの利用者(登録者)のデータでは、ほぼ毎日利用する 人が93.4%を占めており、週1〜3日や時々利用する人は5%程度にす ぎない。そこで、契約によって月払い・日払いを利用者が選択できる方 法を提案したい。月払いを基本として希望とする人は日払いで契約すれ ばいい。 ・事業者の安定は人材確保に繋がり、利用者のための質の高いサービスに 繋がることを理解いただきたい。 ・就労継続支援A型事業では、雇用契約で認められている年次有給休暇と 日払い方式の報酬算定とで大きく矛盾している実態があることを理解い ただきたい。 ・月払いについて、複数のサービスを利用した場合の負担の問題を挙げて いるが、技術的な調整が可能ではないかと考える。それを考える前に日 払いのメリットだけを示すのはいかがなものか。事業者が安定的な運営 ができるように、十分に事業者の話も聞くべきである。 ・自立支援法の施行後3年の移行実績を見た場合、ほとんどの施設・事業 所が移行できていないという現実を謙虚に受け止めるべき。知的障害者 はサービス体系を多くしても選べない。実態に合った仕組みや制度を、 国民のためにという視点に立って改めて作っていくべきである。 ・日払い・月払いの議論で時間をとるべきではない。日払いでも困らない ように9%以上の報酬アップを要求する。 ・利用者の立場から考えれば、その日の体調や気分でサービスを利用する かどうか本人が選ぶのが好ましい。また、昼夜のサービスの分離につい ても様々な課題があるが、利用者の選択性の拡大という観点からは間 違ってはいないと考える。 ・選択されることでサービスの質が高まるということは、利用者である障 害者も成長し、よりよいサービスを求めていくということにもつながり、 さらに質を高めていくことになるのではないか。しかしそれで事業者が 潰れるということになれば、しわ寄せが利用者にいくということにも注 意は必要である。サービス提供に市場原理を持ち込むといった場合には 折り合いをしっかりとつけるべきである。 ・温泉地では大きな旅館が潰れ、工夫を凝らしたペンションという新しい ものが生まれている。 ・ペンションはキャンセル料を請求できるし、何よりも事業者が価格を決 めることができる。しかし福祉は違う。営利企業と福祉は違う。 ・公費を使って障害者の福祉を維持していくということは、国民ないし納 税者の合意を前提としていなくてはならないということである。納税者 は障害者のためにということで負担しているという側面も忘れてはなら ない。本当に障害者の立場に立った議論が必要である。 ・事業者を単に競争させれば、サービスの質が向上するという考え方につ いては、いかがなものかと考える。事業者の運営が安定していることの 上に利用者の選択肢が成り立つということも念頭に議論をする必要があ る。ただしそれは事業者のための議論ではく、障害者の地域生活をどの ように豊かにしていくかといった視点で行うべきである。日払い方式は 利用者に選択権を与える良いしくみ。 ・企業を見ても良く分かるが、運営の安定は、日払い・月払いだけの問題 ではない。固定費を様々な工夫によって低減するような努力も必要で、 日払い・月払いの問題とサービスの質を一緒に考えるべきではないと思 う。 ・事業者の経営が成り立たないのは日払いと報酬の減額がセットであるか ら。経営保障が必要。 ・日払い方式によって福祉の世界に選択の原理を持ち込むことが必要との 話はもっともらしく聞こえるが、そのことによって医療や介護が崩壊し 始めている現実もある。障害者にとって必要なものは何なのかという議 論がないことに不安を感じている。 ・日払い方式を残すのならば、事業者の運営の安定にしっかりと踏み込ん でいただきたい。ただし、日払いによって減収になったところとそうで ないところがあるので精査が必要である。 ・日払いの問題を含めて、さまざまな要因がからんでいる。異なる論理が 混在している。最低賃金法の適用や年次有給休暇制度から除外される福 祉的就労に、市場原理という異なる理屈を無理にくっつけている。一般 の企業に働きに行けない障害者のための制度を議論すべきであり、その ためには特別の考え方や制度を導入すべき。そもそも一般の市場原理を 通せるならば、こういう制度はいらない。障害者自立支援法は市場原理 のいいとこ取りをしている。 ・サービスの選択ができると明記された自立支援法だが、同じように選択 できるとされていた支援費制度がうまくいかなかったという事実がある。 サービスを選ぼうと思っても現にサービス基盤が弱いという現実があり、 実際に日払いによってサービス選択による利用がどれだけ増えたのかと いう実績データがないと議論が進まないのではないか。 ・施設・事業所のサービス基盤が日払いによって崩れており、月払いに戻 すべきである。新体系に移行した重度障害者の訪問系サービス事業所は 崩壊状態にあり、介護者も看護師も確保できず、利用者がサービスを使 えない状態になりつつある。上限(37,200円の)利用料を払ってでも サービスを確保したいという悲鳴が上がっている。   (日中と夜間) ・日中と夜間の分離の件について、利用者がサービスを選択することがで きると評価しているが昼夜一体型のサービスが必要な場合もある。一体 型の意義についても再考をお願いしたい。 ・日中と夜間を切り分けるのではなく、普通の人と同じように生活してほ しいというのが親の思いである。日中と夜間を切り分けることがよい人 もいれば、そうでない人もいることを理解していただきたい。   (標準利用期間) ・精神障害者の実態を見れば、現在の標準利用期間で効果を上げることは 困難だと思う。標準利用期間の見直しをお願いしたい。 ・学校には必ず卒業がある。だからこそ結果を出そうとする。利用者の適 性、事業者の評価、求人状況などを確認する必要がある。2年経って就 労移行支援はどういう状況なのか。 ・就労移行支援の2年間の成果や効果がわかるような資料・データを示し ていただきたい。特に成果の上がったところの事例の検討や分析を行う べきではないか。 ・自立訓練の標準利用期間について、きちんと評価して延長を認め、減算 も改めるべき。   (新体系への移行) ・新事業体系への移行の状況について、移行率が全体で28.2%と示されて いるが、促進するためには何が必要なのか、進まない要因は何なのか しっかりと分析、議論する必要がある。 ・新事業移行時特別加算について、21年度以降も継続すべき。 ・地域生活移行を進めることは大事であるが、安心できる地域生活支援策 の整備がない中で施設から出て行く話だけが先行している。基盤整備が 整うまでは当然個室化などを前提に就労継続支援B型+施設入所支援を 認めてほしい。一方で神奈川県のグループホーム火災の影響により、グ ループホーム設置が難しい状況も生じている。北欧でも地域生活移行は 時間をかけて進めてきており、以前の大臣発言(施設から追い出される ようなことはしない)や与党PT報告書で示された内容も含め、利用者 が安心できるようにしてほしい。   【A障害程度区分】 ・訪問系サービスの費用負担にあたり、国庫負担基準の設定は廃止すべき。 国庫負担基準は小さな市町村ではそのまま上限基準になってしまう。 ・認定調査項目の87項目は要介護認定項目の流用であり、障害者にはその ままあてはまらないものである。介護中心の内容になってしまっている 点を見直すべきである。 ・知的障害者、精神障害者と同様に発達障害者についてもその特性が反映 されない問題がある。実態調査を行う際には、発達障害者の特性を反映 できるために必要な項目も入れてほしい。 ・区分判定結果の変更率の高さから見ても、障害程度区分のあり方そのも のを根本的に見直すべき。介護保険の指標を使っても精神障害者の障害 特性は測れない。 ・訓練等給付を利用する際に認定の仕組みが必要なのかどうかを検討すべ きである。 ・市町村審査会と認定調査のためにどれだけ費用がかかっているのか示し てほしい(事務局より約25億円と回答)。その財源をサービス提供側に 回せばもっと良いサービスになるはずである。 ・認定審査に係る部分を制度として残すのであれば、簡素化しないと財政 が破綻する。調査する側、調査を受ける側、認定する人、みんなが大変 な思いをする仕組みになってしまっている。 ・障害程度区分は知的障害者、精神障害者には適さない。身体障害者につ いても内部障害者も含めて極めて多様な特性がある。身体障害者の中で 2次判定が変更になった人の障害内容ごとの内訳など、詳しい科学的な データを示して議論する必要がある。 ・三障害の特性を反映できる制度にしてほしい。きちんと障害特性を反映 できる仕組みにすべきである。見守りなどいろいろな要素を含めた項目 によって必要な支援の判定ができるようにしてほしい。早く見直ししな いと24年になっても移行できない。 ・個別支援計画の過程のアセスメントに重要なポイントが含まれており、 それを明らかにすることによって障害特性が明らかになってくる。その 流れによって具体的な支援量の集積・類型化を検討してほしい。 ・障害程度区分を見直すための障害者支援実態調査の実施にあたっては、 働くための支援量を測る項目の追加をお願いしたい。 ・知的障害者の4割が地域生活であり、そのうち9割が家庭での生活であ る。どんな支援が必要なのか、在宅障害者の実態調査をしてほしい。そ のためには全面的に協力する。 ・障害程度区分によって利用できるサービスが限定されてしまう点をどう 考えるのか。障害程度区分とケアマネジメントを組み合わせる方向で もっていくことができれば、本人の思いをきちんと汲んでいけるので、 サービス利用の限定という課題はなくすことができる。 ・障害者の中には視覚障害や聴覚障害等のコミュニケーション障害の人も いる。介護中心の調査項目ではきちんとした障害程度区分が出ないので 指摘しておきたい。 ・自立支援法は機能別に給付体系を作ったと言われているが、機能別の給 付と障害程度区分をどう合理性をもって結びつけるのかの検討が必要。 ・身体障害者の二次判定上位区分変更率は23.0%だが、身体障害者は絶対 数が多いので実数も多いという点をしっかりふまえてほしい。  --------------------------------------------------------------------------  次回は11月12日に開催される予定。 〔参考URL〕【WAM NET】 http://www.wam.go.jp/ (「行政資料」→「審議会など」→「社会保障審議会」→「障害者部会」) ******************************************************************************** 2.障害者の地域生活支援推進セミナーのご案内  平成21年1月19日、全国社会福祉協議会「障害者の地域生活支援推進セミナー」が下記 のとおり開催される。  全社協では、地域においてサービス・相談事業者、住民、行政、社協等がネットワーク を構築し、障害者への地域生活支援の先駆的、重層的な取り組みを行っている事例を収集 し、さらに充実した地域生活とその支援の推進に向けた提案を行うことを目的として、 「障害者の地域生活支援のあり方に関する検討会」を設置し、検討を進めてきた。  本セミナーでは、この検討会の検討成果を踏まえ、一般就労やネグレクト、施設からの 地域生活移行等をキーワードに障害者の地域生活支援に関する先駆的な取り組みを報告す るとともに、行政、民生委員、社協、相談支援事業者等によるシンポジウムを通じて、今 後の障害者の地域生活支援の在り方について考えていく。本セミナーにぜひご参加いただ きたい。  詳細については、別添開催要綱及び下記ホームページを参照。     日  時:平成21年1月19日(月)10:00〜16:00   会  場:全国社会福祉協議会「灘尾ホール」   参加対象:障害者の地域生活支援に従事する社会福祉施設関係者、在宅福祉サービス        関係者、社会福祉協議会関係者、民生委員・児童委員、行政関係者、ボラ        ンティア等   定  員:300名   参 加 費:8,000円   内  容:@実践報告「障害者の地域生活支援に関する取り組み事例」        ※一般就労やネグレクト、子育て、施設からの地域生活移行等をキーワー         ドに地域においてサービス・相談事業者、住民、行政、社協等がネット         ワークを構築し、障害者への地域生活支援の先駆的、重層的な取り組み         を行っている事例を民生委員児童委員、社協関係者、相談支援事業者等         が報告する。        Aシンポジウム「障害者の地域生活支援の推進に向けて」        ※相談支援、ケアマネジメント、事業者・関係者間連携、地域支援体制づ         くりなどの観点から、今後の障害者の地域生活支援のあり方やそれらの         推進に向けた具体的な課題と方向性について、討議する。 〔参考URL〕【全社協】 http://www.shakyo.or.jp/ 「新着情報」を参照。(11月13日よりご覧いただけます。) ******************************************************************************** 3.研究会・検討会等の動向 「労働・雇用分野における障害者権利条約への対応の在り方に関する研究会」  平成20年11月7日、「第6回労働・雇用分野における障害者権利条約への対応の在り方 に関する研究会」が開催された。今回の検討会では、前回に引き続き、障害者関係団体 (@日本障害者協議会、ADPI日本会議、B全国社会就労センター協議会)からヒアリ ングが行われ、労働・雇用分野で求められる「合理的な配慮」に関する意見が出された。  次回の検討会は、11月下旬頃に開催され、引き続き、障害者関係団体からのヒアリング が行われる予定。 〔参考URL〕【WAM NET】 http://www.wam.go.jp/ (「行政資料」→「障害者福祉」→「調査研究・報告等」→「障害者雇用・就労関連」) 同封資料17(通算)207号 @ 全社協「障害者の地域生活支援推進セミナー」開催要綱