障害福祉部ニュース (障害福祉制度・施策関連情報) 2008年10月9日 14(通算204号) 発行:全国社会福祉協議会・障害福祉部 〒100-8980 東京都千代田区霞が関3-3-2 新霞が関ビル内 TEL:03-3581-6502  FAX:03-3581-2428 e-mail:z-shogai@shakyo.or.jp 1.第40回社会保障審議会障害者部会の開催  平成20年10月8日、第40回社会保障審議会障害者部会が開催され、「障害者自立支援法 の見直しに係る主な論点」の中の項目「(T)相談支援」について、@ケアマネジメント の在り方、A相談支援体制、B自立支援協議会を論点に審議が進められた。  冒頭、事務局(厚生労働省)から今回の論点に基づく資料説明があり、その後、各委員 との意見交換が行われた。委員の中から「相談支援事業の市町村格差の問題は自立支援法 施行以前からのものであるが、補助金から一般財源への移譲、実施主体が都道府県から市 町村に移管されたことによって生じた問題である。財源措置の問題の改善と都道府県の役 割を改めて明確にする必要がある」、「必要なサービスを結びつけるために、サービス利 用計画書作成費の対象に施設利用者を含め、すべての利用者に拡大すべきである」、「ケ アマネジメントについては、計画の作成を支給決定の前にすること、作成費の報酬単価を 引き上げることが必要である。また、ケアマネジメントにおける法人の利益追求について は介護保険でも課題となっているが、中立性という観点から行政が第一義的に行うべきで ある」、「地域自立支援協議会は困難事例への対応のあり方に関する協議、調整を行うだ けでなく、必要に応じてさまざまな相談支援についても取り上げ、地域での支援体制等の 確認の場としても機能させていくべきである」、「地域自立支援協議会は、形だけであま り機能していないところもある。しかしながら地域の中では同趣旨のネットワーク組織が 既に存在している実態もあり、こうしたところの活動を妨げることなく、その活用を考え ていく必要がある」などの意見が出された。  その他、各委員からの主な意見は以下のとおり。  -------------------------------------------------------------------------- 相談支援に関する各委員からの主な意見  (T)相談支援   【@地域における相談支援体制】 ・一般的な相談支援の財源は市町村の一般財源(交付税)であり、財政状 況によって現実的に格差の問題が生じている。この問題にどう対処して いくか。 ・相談支援事業について、大規模な市から人口数千人の小規模の町村まで あり、一概に市町村が実施主体といっても現実的に対応が厳しいところ があるのが実態。市町村合併や過疎地域への対応が進むまでの間は、都 道府県が役割をその果たしていくことが必要である。 ・相談支援体制としての三障害に対応できる総合的拠点の設置について、 私の市では市役所に相談支援センターを設置し、市内9ヵ所の相談支援 事業所の職員を集めて運営している。行政と民間の連携の下に一定の効 果を上げているが、職員人件費の財源不足の問題があり、4割ほどが相 談支援事業所法人の持ち出しとなっているのが実態である。財源の確保 をお願いしたい。 ・精神障害者の相談支援の場合、相談支援の拠点化のメリットは確かにあ ると思うが、一方でそこまで相談に行くのが難しい人もおり、いろいろ なところに相談できるところがある形の方が望ましい。各施設等に相談 支援の機能を持たせ、そこにお金をつけていく方法がよいと思う。 ・相談支援事業の利用について、利用者は必ずしも明確なサービス利用の 目的があって相談しているのではない。さまざまな相談を受けながら潜 在ニーズを掘り起こすのも相談支援事業の役割だと思う。相談支援事業 を自立支援法のサービス利用につながるものだけに限定するのではなく、 もっと広範囲な相談に対応できるものにしていく必要があるのではない か。 ・相談支援の拠点化が必要と言われているが、さまざまな相談がある中で 専門的な相談にすべて応えることは非常に難しい。相談支援にあたる人 材の育成について、専門分野に特化するだけでなく、もっと広い範囲の 人材を育てる視点が必要ではないか。 ・社協はどこの市町村にもあり、ここをうまく活用することはできないか。 社協であれば、民生委員・児童委員の協力も含め相談支援体制を構築し やすいのではないか。 ・障害者同士や家族同士のピアカウンセリングが効果を上げている。現在 はボランティア等での対応だが、こうしたところに補助していくことも 考えてほしい。 ・相談支援においては入口での相談が大事であり、まずここでしっかり話 を聞き、支援をつなげることができる専門性も必要である。福祉の専門 家だけでなく、産業カウンセラーやキャリアカウンセラー等の民間カウ ンセラーの活用も考えられるのではないか。   【Aケアマネジメントの在り方】 ・サービス利用計画作成費の利用者数が2,000人弱で実質機能していない。 自立支援法の下でのケアマネジメントの根本的な見直しをする必要があ るのではないか。介護保険においては利用者の自己決定権をいかに確保 していくかが重要な視点であり、自立支援法では自己決定権の概念は消 えている。自己決定権を明確に位置付けることを法律に明記していく必 要がある。 ・支給決定前からケアマネジメントを実施していくべきであるが、介護保 険でも問題になったように、ケアマネジャーの中立的な立場をどう担保 していくかを考えなければならない。 ・サービス利用計画作成費をどう使いやすくしていくかを考えなければな らない。また計画を策定すること自体が重要なのではなく、障害者本人 の生活全般を支えつつエンパワメントを図るという視点に立ってアドバ イスを行っていくということが重要である。そしてこれを支える財源、 専門的な人材をどう確保するかが次の課題となる。 ・サービス利用計画作成費の対象者を拡大する必要がある。対象を限定す るのではなく、すべての人を計画作成の対象者としていくべきである。 ・サービス利用計画作成費の対象については、施設入所者を含めて、地域 移行に向けたケアマネジメントが可能となるよう改善を求めたい。 ・ケアマネジメントについて専門的に対応する人材の育成が必要であり、 ケアマネジャーの国家資格化を考える必要があるのではないか。 ・サービス利用計画の作成については、その役割を誰が担うかが重要であ り、セルフマネジメントを含め、しっかりと議論をすべきである。 ・本来は障害者本人がマネジメントを行うことが理想であり、ケアマネ ジャーがいないとサービスが利用できなかったり、本人が望まない方向 でマネジメントされるようでは本末転倒である。 ・サービス利用については身体障害者・知的障害者・精神障害者などさま ざまなニーズがある。その人にあった計画作成の支援を行っていくこと が重要である。 ・サービス利用計画作成費の単価が低すぎる。事業所で専門的な人材を確 保できるよう、単価の見直しをお願いしたい。 ・相談支援が障害者の自立にとって重要であることは各委員共通の認識で あり、本気で相談支援の充実をするのであれば、その人材・予算の確保 のための数値目標を出すくらいの意気込みが必要なのではないか。   【B自立支援協議会】 ・自立支援協議会は障害者が地域での生活を継続していく上で大変重要な 役割を持っており、法律上の位置付けを明確にしてほしい。その機能に ついても困難事例に止まらず、それ以外の事例への対応の役割も必要で ある。少なくとも人口20万人の圏域に1ヵ所の割合で設置し、専門的な 人材の配置のための財源を投入することが必要である。相談支援と自立 支援協議会は一体のものであり、このままでは自立支援協議会が機能せ ず、自立支援法の理念も絵に書いた餅になってしまう。 ・自立支援協議会の構成メンバーの中に障害当事者団体が入っているが、 人口20万人の圏域に1ヵ所の割合での設置を見据えるのであれば、団体 ではなく障害当事者をきちんとメンバーに入れることを考える必要があ る。  --------------------------------------------------------------------------  次回は10月22日に開催され、「障害者自立支援法の見直しに係る主な論点」の中の項目 「U地域における自立した生活のための支援」のA就労支援、B所得保障について議論が 行われる予定。 〔参考URL〕【WAM NET】http://www.wam.go.jp/ (「行政資料」→「審議会など」→「社会保障審議会」→「障害者部会」) ******************************************************************************** 2.研究会・検討会等の動向 「障害者の一般就労を支える人材の育成のあり方に関する研究会」  平成20年10月3日、「第3回障害者の一般就労を支える人材の育成のあり方に関する研 究会」が開催された。今回の研究会では、@障害者の一般就労を支える人材の現状と課題、 A就労支援機関の役割に応じた就労支援を行うために必要な能力要件等について検討が行 われた。  障害者の一般就労を支える人材の現状と課題については、就労移行支援事業者や障害者 就業・生活支援センターなどを対象とした「障害者の一般就労を支える人材に関する実態 調査」の暫定結果が示され、各事業所における人材育成の状況や支援者の職務と能力等の 現状が明らかになった。  また、就労支援機関の役割に応じた就労支援を行うために必要な能力要件等については、 障害者の一般就労を支える就労支援員、就業支援担当者、1号ジョブコーチ、2号ジョブ コーチのそれぞれの職務と能力要件に関して、実態調査の結果をもとに具体的な検討が進 められた。  次回の研究会では、就労支援員のあり方や研修体系・研修内容等、障害者の一般就労を 支える人材の育成のあり方について検討が行われる予定。   〔参考URL〕【WAMNET】http://www.wam.go.jp/ (「行政資料」→「障害者福祉」→「調査研究・報告等」→「障害者雇用・就労関連」)