障害福祉部ニュース (障害福祉制度・施策関連情報) 2008年9月12日 11(通算201号) 発行:全国社会福祉協議会・障害福祉部 〒100-8980 東京都千代田区霞が関3-3-2 新霞が関ビル内 TEL:03-3581-6502  FAX:03-3581-2428 e-mail:z-shogai@shakyo.or.jp 1.第38回社会保障審議会障害者部会の開催  平成20年9月10日、第38回社会保障審議会障害者部会が開催され、障害者自立支援法の 「施行後3年の見直し」に向けた本格的な議論がスタートした。  冒頭、厚生労働省(事務局)より、これまでの議論の内容や関係団体等からのヒアリン グを踏まえてとりまとめられた「障害者自立支援法の見直しに係る主な論点(案)」の内 容説明があり、以降の部会の進め方について「今後は、この主な論点に従って項目ごとに 議論を深めていきたい」との説明があった。  次に、「主な論点(案)」について各委員との質疑応答が行われ、各々の主張が主な論点 のどこで議論されるかについての質問が続いた。なかでも「障害者自立支援法の基本的理 念や方向性の議論はどこで行うのか、障害者権利条約の批准も見据えて議論すべきではな いか」との意見に対し、厚生労働省より「基本的に障害者自立支援法と障害者権利条約の 理念・方向性に矛盾はないと思う」との回答があっが、部会長より「委員からの意見をふ まえ、障害者権利条約との問題について整理し、次回以降に提示するように」との指示が あった。  さらに「障害者自立支援法の理念は良いと思うが、具体的施策になると理念と逆に作用 している部分があるのが問題」「与党PTの報告書で示された内容に各団体の意見が集約 されている。実現に向けて議論するのがこの部会の役割ではないか」との意見に対し、厚 生労働省より「項目ごとの論点を議論しながら理念や方向性の問題も出てくると思う。ま ずは項目ごとの議論をしていきたい」との回答があった。  その後も各委員から、就労支援給付の創設や、精神障害者のピアサポート、相談支援員 の役割や位置付けの明確化、障害者の地域移行先の問題、精神障害者にとっての小規模作 業所の役割、知的障害者の手帳制度についてなどの課題が、「主な論点(案)」のどこで 議論されるのかについて確認が行われた。  -------------------------------------------------------------------------- 障害者自立支援法の見直しに係る主な論点(案) -大項目部分のみ-   (T)相談支援                   (W)障害者の範囲    @ ケアマネジメントの在り方            @ 障害者の定義    A 相談支援体制                  A 手帳制度   (U)地域における自立した生活のための支援    (X)利用者負担    @ 地域での生活の支援                A 就労支援                   (Y)報酬    B 所得保障                                             (Z)個別論点   (V)障害児支援                  @ サービス体系    @ ライフステージに応じた支援の充実        A 障害程度区分    A 相談支援や家庭支援の充実            B 地域生活支援事業    B 施設の見直し等による支援の充実         C サービス基盤の整備                             D 虐待防止・権利擁護                             E その他  --------------------------------------------------------------------------  その後、主な論点のひとつである「障害児支援」の在り方について、@ライフステージ に応じた支援の充実(障害の早期発見・早期対応策、就学前の支援、学齢期・青年期の支 援)、A相談支援や家庭支援の充実(ライフステージを通じた相談支援、家族支援の方 策)、B施設機能の見直し等による支援の充実(入所施設の在り方、行政の実施主体、法 律上の位置付け等)の各論点に基づいて、議論が行われた。各委員からの主な意見は以下 のとおり。  -------------------------------------------------------------------------- 「障害児支援」の在り方に関する各委員からの主な意見      @ライフステージに応じた支援の充実(障害児の早期発見・早期対応策、就学前    の支援策、学齢期・青年期の支援策)、A相談支援や家庭支援の充実(ライフ    ステージを通じた相談支援、家庭支援の方策)   ・障害児の「就学前の支援策」について、保育所から一般の学校に進学した場合、    移動支援に関する自立支援法のサービスが使えなくなる。就学前と就学後、あ    るいは卒業後に進学した場合の、一貫した支援が必要である。   ・保育所や放課後児童クラブへの移動支援について、市町村によって移動支援が    使える場合と使えない場合があり、市町村によって格差がある。   ・障害の早期発見・早期対応について、例えば「気になる子どもへの対応」につ    いてなど、自立支援法で対応すべきこと、児童福祉法で対応すべきことの整理    をする必要がある。   ・障害児を初めから専門機関に入所させるということではなく、一般的な子育て    の場の中に専門的な支援を入れていくべき。   ・親は「気になる」段階の時に専門的機関へ行くことには抵抗があるようだが、 早期に次のステップに進むことが大切であり、このタイミングが遅くなると子    育ての放棄につながる恐れもあるため、母子保健との連携がポイントになる。   ・保育所や放課後児童クラブの側の障害児支援についての学習の場も必要。研修    会等の実施について盛り込む必要がある。   ・「卒業後の就労・地域生活に向けた関係施策の連携」「夏休み等において体験    的に就労移行支援事業等を利用」とあるが、実際は在学中でも特例子会社等に    行って訓練をしている。労働サイドの訓練校との関係についても議論すべき。   ・専門機関の活用に加えて、近所の住民の支援や地域の資源、企業等の活用も重    要である。   ・聴覚障害児のスクーニングの問題として、親に情報が入っていないという問題    もあり、正しい情報の啓発もポイントとなる。また、スクリーニングをすすめ    る際、医療側と教育側とで意見が合わない現状があるため、これらを結びつけ    る手立てが必要である。   B施設機能の見直し等による支援の充実(入所施設の在り方、行政の実施主体、    法律上の位置付け等)   ・超重症児のレスパイト支援については、現在の施設では受け入れられる力がな    い。   ・心理的ケアが行える専門的スタッフについて、これに限らず、その他の必要な    支援が行えるスタッフの充実も必要。   ・「部会でのこれまでの主な意見」の中の「強度行動障害の者を分けて考えるべ    き」に対応する論点が見つからない。強度行動障害児への支援の位置付けは今    のままで良いと考える。   ・障害児支援の見直しに関する検討会の中でも、多動性の行動障害の問題は十分    な検討がされていなかった。多く入所しており、論点として入れてほしい。   ・重度心身障害児施設の入所者1万人のうちの2割強が強度行動障害児であり、    どのように分けていくのかを考えていくべき。   ・加齢児入所は、家庭の養育が脆弱なために入所しているケースが多い。一方で    児童養護施設の入所児に障害のある子どもの割合も多く、このことも含めて考    えていくべき。   ・「法律上の位置付け等」について「児童福祉法に位置付けることを基本」とし    ているが、障害の早期発見も児童福祉法に位置付けるのか。保健師が母子保健    法に基づく事業を行って早期発見に関わっている市町村も多く、同法の充実で    解決できる部分もかなりある。関連法との関係も議論すべき。   ・特別支援学校高等部等の卒業生の進路について、就労移行支援事業に進むとい    うことが言われているが、その人の能力に即した適切な進路指導が行われてい    ない。2年の利用期限で一般就労になじまないということになれば就労継続支    援B型に移行するというやり方になっている。就労のあり方や障害程度区分の    あり方も含めて議論いただきたい。   ・行政の実施主体について、入所施設については都道府県での対応、通所につい    ては市町村での対応に同意するが、すべての市町村で同じ対応ができるのかと    いう疑問もある。障害児通園施設については箇所数が少ない。   ・どの市町村でも同じ対応ができるかが疑問。障害児に関わらず、自立支援法す    べてに関わる問題。ナショナルミニマム・ローカルミニマムの基準をどうして    いくのか、議論が必要。  --------------------------------------------------------------------------  次回は、9月24日に開催され、現時点では主な論点の中の項目「(U)地域における自立 した生活のための支援」(状況により変更の可能性あり)が議論される予定である。     〔参考URL〕【WAM NET】http://www.wam.go.jp/ (「行政資料」→「審議会など」→「社会保障審議会」→「障害者部会」) ******************************************************************************** 2.「発達障害者支援の推進に係る検討会報告書」について  平成20年8月29日、「発達障害者支援の推進に係る検討会」が報告書を取りまとめた。 この検討会は、発達障害者支援法施行後の発達障害者施策の現状と課題について整理を行 い、今後の対応の方向性について検討を重ねてきた。  報告書は、発達障害者に適切な対応が提供できるような社会の実現に向けた、@地域支 援体制の整備、A支援手法の開発、B調査・研究、C人材の育成、D情報提供・普及啓発 に関する施策の方向性を示したものとなっている。概要は以下のとおり。  --------------------------------------------------------------------------   発達障害者支援の推進に係る検討会 報告書(概要)   一部抜粋   【今後の発達障害者支援の方向性】    1.地域支援体制の整備    <基本的考え方>    ○ 発達障害者について、医療・保健・福祉・教育・労働など様々な関係者が      支援を行うことが必要であるが、様々な分野の関係者が共通の視点に立っ て連携をとりながら、継続的に当事者とその家族を支援していくためには、 どのような役割分担の上でそれぞれが支援していくかを明らかにした「個 別の支援計画」の作成・活用や、関係者による支援会議の開催が必要であ る。 ○ 直接処遇職員に対して専門機関が行うバックアップ体制の整備、発達障害 のアセスメントを行う機能の強化が必要である。 ○ 更に、発達障害者への就労支援については、開発された支援モデルに基づ くプログラムの普及について、更なる強化が必要である。 <対応の方向性> ○ 都道府県は、文部科学省の施策である発達障害等支援・特別支援教育総合 推進事業と連携して行っている発達障害支援体制整備事業において取り組 まれている市町村等の「個別の支援計画」作成状況を調査し、必要に応じ て発達障害者支援センター職員が市町村の担当部署に対して発達障害者の 個別の支援計画作成と活用に対するサポートなどを行う。 また、国においては、「個別の支援計画」に基づく支援を効果的に実践し ている地方自治体の事例集を作成する。 ○ また、発達障害者支援センターについては、各都道府県等の整備状況をふ まえながら、専門的なアセスメントやモニタリングを行う機関としての位 置付けを明確にするとともに、発達障害について専門的な支援を行う者と 協力しつつ直接処遇職員に対してバックアップを行う体制整備を行う。 ○ さらに、国の就労支援については、ハローワークの体制を強化させるとと もに、障害者職業総合センターで開発された技法により、地域障害者職業 センターで試行実施されている「発達障害者に対する専門的支援のカリキュ ラム」の全国実施に向けた障害者職業カウンセラーの増配、さらなる技法 の開発等の体制整備を行う。 2.支援手法の開発 <基本的考え方>     ○ 発達障害者については、当事者とその家族の状況やニーズが個々様々であ ることから、一般施策を含めて様々な種類の支援をきめ細かく提供できる ように支援手法の充実を図ることが必要である。 ○ また、支援手法の中で十分に検討されていない分野についても、随時開発 を行うことも必要である。 <対応の方向性> ○ 支援手法の開発の状況を踏まえ、支援手法を収集し、その効果等について 客観的な検証を行ったうえで普及を図る。 ○ また、発達障害の青年期・成人期(就労後から老年期を含む)における老 年期までを視野に入れた職業生活を含めた社会生活の支援(本人の能力を 高めるための働きかけやカウンセリングを含む。)、発達障害に適したア セスメントやモニタリング、当事者や家族自身が問題の解決を図るための 方法の開発を行う。 3.調査・研究 <基本的考え方> ○ 発達障害者の実態把握や、発達障害の原因の究明、発達障害の診断及び治 療、発達障害支援の方法等に関する必要な調査・研究を行うことが必要で ある。 <対応の方向性> ○ 発達障害の調査研究についての検討を行う場を設けたうえで、発達障害の 調査・研究にとって重要な共通の評価尺度の開発、発達障害に関するデー タベースの構築等に取り組むとともに、不足している分野における調査・ 研究についても重点的に取り組む。 4.人材の育成 <基本的考え方> ○ 発達障害の支援に関する人材の養成・研修は各分野で取り組まれているが、 その内容の統一性、研修成果の活用はまだ十分ではないことから、各分野 の取組状況を踏まえつつ、一貫した支援を提供するための標準的なテキス      トやマニュアル作成、直接処遇職員の中に発達障害者に対する支援に詳し      い職員を養成するための研修、研修後の人材活用を推進することが必要で      ある。     ○ また、発達障害に関する診断やアセスメント、モニタリングを行える人材 を充実させること、家族同士が相互に支援を行うことができるようにする ことも必要である。 <対応の方向性> ○ 発達障害者支援のための各分野共通のテキストやマニュアルを作成し、そ れぞれの分野が行う研修に利用する。 ○ 支援手法の開発の状況を踏まえ、発達障害の診断や治療を行う医師をはじ めとして専門的な支援を行う人材を養成する観点から、実際に発達障害の 支援等に取り組んでいる施設等における実地研修のシステムづくりに取り 組む。また、発達障害の診断を受けた者の家族同士という立場でピア・カ ウンセリングを行い、当事者とその家族による問題解決を支援する、いわ ゆるペアレントメンター(ボランティア)の養成を行う。 5.情報提供・普及啓発 <基本的考え方> ○ 発達障害についての誤解や偏見から支援に結びつかない場合があること、 発達障害の相談窓口の情報周知が不十分なため相談につながっていない場 合があること、発達障害についての信頼のおける支援手法の判断が専門家 以外では難しいこと、発達障害についての良いモデルを開発し実践しても 情報が集約されていないために、それらが広がっていない等の課題がある ことから、適切な情報の収集・分析を行った上で受け手に合わせた様々な 方法を用いた信頼のおける情報を提供することが必要である。 <対応の方向性> ○ 国において、現在の発達障害情報センターの機能を強化するとともに、 (独)国立特別支援教育総合研究所の発達障害教育情報センターと緊密に連 携を図りながら、必要な情報の収集、分析、発信が適切に行えるような体 制の強化を図る。 ○ 地方自治体においても、発達障害者支援センターと連携し、相談資源の情 報等が提供できるように整備する。  --------------------------------------------------------------------------         ※詳細については、別添資料@を参照。  〔参考URL〕【厚生労働省】http://www.mhlw.go.jp/shingi/2008/08/s0829-7.html ******************************************************************************** 3.研究会・検討会等の動向 「今後の精神保健医療福祉のあり方等に関する検討会」  平成20年9月3日、第9回「今後の精神保健医療福祉のあり方等に関する検討会」が開 催された。今回の検討会では、これまでの8回にわたる議論の整理として「これまでの議 論の整理と今後の検討の方向性(論点整理)」が示された。  論点整理の主な枠組みとして、@今後の精神保健医療福祉施策の基本的な考え方、A地 域生活への移行及び地域生活の支援に関する今後の検討の方向、B精神保健医療体系の再 構築に関する今後の検討の方向、C精神疾患に関する理解の深化(普及啓発)に関する今 後の検討の方向が示された。  地域生活への移行及び地域生活の支援に関する今後の検討の方向については、個別の論 点として、相談支援、地域を支える福祉サービス等の充実、地域生活を支える医療の充実、 入院中から退院・退所までの支援の充実が挙げられた。また、精神保健医療体制の再構築 に関する今後の検討の方向については、個別の論点として、入院医療、通院・在宅医療、 医療体制・連携、人材の確保・資質の向上をはじめとした精神医療の質の向上が挙げられ た。  検討会では、今後、この論点整理をもとに今後の精神保健医療福祉施策についてさらな る検討を行っていく。次回は、9月25日に開催され、@住まいの場の確保、A入院中から 退院・退所までの支援の充実、B精神科救急・精神保健指定医について検討が行われる予 定。  〔参考URL〕【厚生労働省】http://www.mhlw.go.jp/shingi/2008/09/s0903-7.html 同封資料11(通算)201号 @ 「発達障害者支援の推進に係る検討会 報告書」